教えて内藤先生 第26回 「総入れ歯になったら定期検診はもう必要ないの?」

この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の常識や日常がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。


内藤先生
話せる歯科医

ゆめは君
辛口な小学校5年生

内藤先生
先日患者さんから、「総入れ歯になったら定期検診はもう来なくて良いのですか?」って聞かれたんだけどね。

ゆめは君
総入れ歯になっても定期検診は必要なの?

内藤先生
そうだね。歯科医としては、患者さんに定期検診に来てもらうために必要って答えるよね。

ゆめは君
なんで必要なの?

内藤先生
歯科医院は、その人の歯だけを診ているわけじゃないからね。当然、入れ歯の状態も診たいし、口の中の衛生状態や機能の問題も診たいし、全身的な健康状態や食事を中心とした生活習慣も知りたい。

ゆめは君
あ、歯科医院の定期検診て歯を診ているだけじゃないってことね?

内藤先生
そうだよ。歯を残すためにっていうのは、定期検診を受ける意義の中の一つでしかない。

ゆめは君
だから歯がなくなっても診るべきことは他にもあるってことね。

内藤先生
そうなんだ。特に総入れ歯になるのは高齢の方が多いから、口の機能の低下が起こっていることが多い。それに、定期検診って言われることが多いけど、基本的に検査して診るだけじゃなくて、予防処置を併せて行うんだよね。

ゆめは君
そうだよね、歯科衛生士さんが歯の清掃もしてくれるんだよね?

内藤先生
うん、歯科衛生士がプロの技でしっかりときれいにしてくれるし、普段の清掃方法なども教えてくれる。入れ歯の手入れや、口の中の機能を維持するための方法なんかも教えてくれる。

ゆめは君
色んな事してくれているんだね?でも患者さんからしたら、歯科医院てできたら行きたくないところだよね?まあ歯科医院に限らず、病院ってできたら行きたくないって思う。

内藤先生
たしかにそうだよね。自分たちの生活から、歯科医院や病院の存在は、できるだけ排除したいと思うよね。

ゆめは君
定期検診で一生通い続けるってなると、自分の生活と切り離せないよね?

内藤先生
「総入れ歯にしたら、定期検診に通わなくてよいですか?」って聞いてきた患者さんは、総入れ歯にしたら定期通院する歯科医院との関係を切れるんじゃないかって期待したと思うんだけどね。

ゆめは君
でも定期検診で通院しないといけない?

内藤先生
通院しなければいけないかっていうと、絶対ではないよね。もちろん定期検診を受けた方がより良いと思っているけど、そこには患者さんの自由度や裁量が入って良いと思うから。

ゆめは君
強制はできない?

内藤先生
うん、できないし、する必要もない。理想は、わざわざ歯科医院や病院なんかに行かなくても健康が維持できて、生涯を全うできることだとは思うし。

ゆめは君
理想だけど無理だと思う?

内藤先生
現代のような生活環境だと無理だと思う。文明の発達していないような生活環境だったらいけるかもだけど。現代のような生活環境では子供のときからずっと診てサポートする必要性があると思ってる。

ゆめは君
サポートって何するの?

内藤先生
ざっくり言うと、子供のときに歯や顎を健康的に発育させて、良い食習慣を身につけ、大人になってもその形や習慣をできるだけ保つようにする。

ゆめは君
それって同じ歯科医院でずっと診てもらってる方が良いの?

内藤先生
そうだね。経過がわかっていると、もしその形が失われることになってももとの状態に戻しやすい。だから詰めものや被せものの治療はもちろん、仮に総入れ歯にしなきゃいけなくなったときでも、その人の過去の情報があるとないとでは、全く違うんだよ。

ゆめは君
じゃあかかりつけって大事なんだね?

内藤先生
経過を良く知っていてサポートしてくれるかかりつけ歯科医をもつと、人生の質があがることは間違いないと思うんだけどね。

ゆめは君
へえ。でもかかりつけ歯科医って大事なのに、できたら生活から切り離して考えたい会いたくない人って思われるのはつらいよね。

内藤先生
まあ、ある程度は仕方ないけどね。ただできるだけ定期検診で歯科医院に通うことが患者さんにとって苦じゃなくなるように努力することは必要だよね。

(次回へ続く)

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