この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の想いや常識がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。
内藤先生
話せる歯科医
ゆめは君
辛口な小学校5年生
伝言ゲームでは最初に伝えた話が最後の人には全然違う話になっていることもあるでしょ?
うん。すごい簡単なことでも最後には結構変わっている。
そうなんだよ。一つの簡単な単語だと結構正確に伝わるんだよ。でもそれが文章になってくると全然伝わらなくなる。
そう。ここで言いたいのは、それくらい情報っていうのは人から人へうつるときに変わってしまうっていうこと。
そうだね。情報の広がりとウイルスの広がりは似ている部分があるね。
ウイルスをたくさんの人に感染させる人のことを、スーパースプレッダーっていうらしいんだよね。
スーパースプレッダー?なんかカッコ良い名前ついてるんだね。
うん。情報の場合でいうと、より多くの人に広げる能力の高い人とか、影響力や発言力の強い人ってインフルエンサーと呼ばれたりするよね。
でも情報の方がウイルスより変異が激しい気がするんだよね。
だって伝言ゲームとか見ていて思うんだけど、ものすごく伝言されたものを変えて伝えちゃう人っていない?
あーいるいる。「え?わざとやってない!?」ってくらい。
でしょ。それと同じで世の中にも、聞いた情報を自分のすごく偏った解釈で、全然別な情報に変えてしまう人がいるんだよ。
そういう人がいるから情報の方がウイルスより変異が激しいって思うわけね。でもなんでそんなことになるのかな?
同じことを聞いたって、その感じ方は人それぞれ違うからね。それは個性だし、偏りは全然悪いことではないんだけどね。
でも誰から聞くかで、全然違うってことになっちゃうってことだよね。
そうなんだよね。歯科医療の世界でもそうだよ。そういう偏った情報ってあるんだよね。
偏り自体は悪くない。それが自分の解釈だから。でもその偏りを自覚していることが大事だよね。
たとえばね、すごく良い結果の出た治療経験があると、そのことばっかり人に伝えちゃう。結果が良くなかった人もいることは伝えずに。そういう人は悪い結果については聞かないし聞いても忘れちゃう。
そういうこと。そういうふうに自覚なくすごく偏った解釈をして情報を変異させて伝えてしまう人のことを何て呼んだら良いかな?
(次回へ続く)
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