話せるブログ 第27回 感性&思考「歯科医療のあいまいさへの対処」

この連載について
一人ひとりの答えが違う歯科医療。そんな中、話せる歯科医は、患者さんの言いなりでもなく、自分勝手でもない。科学的な根拠も大事だけど、ときに感覚やあいまいさを優先する。ではいったいどんな歯科医が話せる歯科医なのか? 私、内藤の経験や物語をとおして、話せる歯科医をひも解いていきます。ここには、これからの歯科医療における答えの決め方のヒントがあるはずです。

患者さんは歯科医療に対して、
どのようなイメージをもっているのでしょうか?

患者さんが訴える
歯や口の問題に対して、
その原因を明らかにして、
その解決方法を明確に示し、
その方法を再現性をもって
確実に実行される。

そうであればどんなに良いことでしょう。
でも現実は違います。

はっきりとした答えがあったり、
再現性や確実性の高い行為は、
歯科医療のある一面でしかありません。

歯科医は、
患者さんの訴える問題に対し、
はっきりとした答えが存在し、
自分たちの行為が
確実なものかのように振る舞います。

でも私は、
歯科医になってから、
歯科医療には別な側面もあることを
感じずにはいられないのです。

それは、歯科医療が
もっとあいまいで、
はっきりとした答えなど存在せず、
不確実性の高い行為も多いということ。

患者さんの訴えている問題に対する
原因がわからないこともあります。
いやそもそも患者さんが
訴えている問題が

よくわからないこともあります。

先日、来院された患者さんで、
以前通院していた歯科医院で、
咬み合わせを調整してから、
その歯の部位から唾液が漏れ出て、
発音もしにくくなったと言っている方がいました。
それに、常にそこに力がかかって、
肩こりや頭痛がするのだと。
だからその歯の詰め物をやり直してほしいとのことでした。

確かにそこの歯に入っている
詰めものの改善点や
その症状に対して、
考えられる原因は
いくつかありましたが、
はたして、
患者さんが訴えられている症状が

完全に消えるかはわかりません。

訴えている症状の原因が、
はっきりわからない、
だから、
詰め物をやりかえたとしても、
本当にその症状が良くなるとは限らない。
そんなあいまいな中で、
患者さんにとって、
費用も苦痛も伴う治療を
決断していかなければなりません。

いつも白か黒かはっきりとして
確実なことだけやっていれたら
どんなに楽なことかと思います。

でも実際の診療では、
白か黒かはっきりしない
グレーな情報の中で
白黒はっきり決めた
不確実な行為に
責任をもつということになるのです。

また、
不確実性の高い行為の場合
やってみてはじめて
不確実性が減り、
あいまいだったゴールが、
徐々にクリアになってくる
というような場合もあります。

1本の歯の治療をするくらいなら
そんなに難しくありませんが、
たくさんの歯を治療するような
大掛かりな治療を行う場合、
治療ゴールのイメージが、
歯科医と患者さんの間で、
事前にはっきり共有することは

とても難しいと思います。

歯科医にとっても、
あいまいな部分があるのですから、
それを含めて患者さんと共有するのは
無理がある話なのです。

以前、咬み合わせを大きく変えたり、
口の中全体に大掛かりな治療を
行う予定の患者さんがいました。

わたしは、事前にすべてを
クリアにしようとしましたが、
全く前に進みませんでした。

何度も話し合いを重ねましたが、
事前にすべてを理解してもらう
ということには、明らかに無理がありました。

それに、結局治療が始まってみると、
事前に説明していた内容とは、
だいぶ違う方向にいくことになったのです。

治療が始まると、
歯科医も患者さんも、
徐々に想いも変わってきますし、
最終ゴールのイメージがクリアになってきます。

信頼関係を築くことが大前提ですが、
このように治療と話し合いが
並行して進むようなプロセスで、

最終ゴールを決めていくことが
歯科医療のあいまいさへの
対処法であると思っています。

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