話せるブログ 第26回 感性&思考「タクシー運転手に学ぶ意思決定支援」

この連載について
一人ひとりの答えが違う歯科医療。そんな中、話せる歯科医は、患者さんの言いなりでもなく、自分勝手でもない。科学的な根拠も大事だけど、ときに感覚やあいまいさを優先する。ではいったいどんな歯科医が話せる歯科医なのか? 私、内藤の経験や物語をとおして、話せる歯科医をひも解いていきます。ここには、これからの歯科医療における答えの決め方のヒントがあるはずです。

「上の道で行きますか?
下の道で行きますか?」

私が乗り込んだタクシーの運転手は、
行き先を伝えるとそう質問してきた。

勉強会の後、
一緒になった先生達と食事にいき、
終電のなくなってしまった深夜2時頃。

「どちらが良いかわからないのですが、
早く着く方でお願いします。」

次の日は仕事があったので、
できるだけ早く帰りたかった私は、
タクシーの運転手にそう答えた。

「まあこの時間だったらどちらで行ってもそんなに変わらないかな。」

タクシーの運転手はそう言うと、
結構なスピードで家まで送り届けてくれた。
どちらの道で行ったのかは私にはわからなかったが。

おそらく親切で聞いてくれたのだと思う。
もしくは、以前に勝手に道を選択して

お客に何か文句を言われたことがあったのかもしれない。

ただ全く道が分からない私は、
選択肢だけが提示されても、
選ぶことができなくて困ってしまった。

選ぶためにはもう少し情報がほしかった。
たとえば、
上の道が早いけど、これくらい費用が高くなるとか、
下の道は混んでること多くて時間がかかるけど、これくらい安いよとか。

ある程度メリットとデメリットの提示がなければ
選ぶことができないのだなと感じた。
それと知らないことは、

ある程度知っている人に任せたいし、
どちらを選んでも変わらないなら、
聞かなくても良いのになとも感じた。

別な日のこと。

予約していたお店の行き帰りに
私たちはタクシーを利用した。

そのお店への道は良く知っていたので、
分かったのだが、行きと帰りでは、
かなり違うルートを選択していた。

もちろん行きと帰りでは、
別の運転手ではあったが、
帰りのルートはかなり遠回りしていた。
費用も行きの2倍くらいになっていた。

「なんでこんなに遠回りしてるんだろう?
もしかして道がわからないのかな?」

私たちは、少し不信に感じていた。

帰りにその運転手に
どうしてこの道を選んだのかを聞いてみた。

「遠回りしたのは知ってます。
近い方は、かなり混んでますよ。
さっき見てきたから知ってるんです。」

このタクシー運転手もおそらく
親切で早く着く道を選択してくれたのだと思う。
ただ、事前に説明をしてもらえると
もっと気持ちの良いものになっていたと思う。
不信に思ってしまった後に説明されると、
その説明は言い訳に聞こえてしまう。

このときの私は、
道を知っていたばかりに、
自分で選択したいという気持ちが少しあったのだと思う。
どちらの道を選んだら本当に良かったのかは正直わからない。
選ぶときに自分の意思が少しでも入っていれば、
結果が同じでも感じ方は違ったのではないだろうか。

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