教えて内藤先生 第44回 「なんで歯科医は話を聞いてくれないの?」

この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の想いや常識がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。


内藤先生
話せる歯科医

ゆめは君
辛口な小学校5年生

内藤先生
歯科医に対して、患者さんから出る不満や苦情で多いのは何があると思う?

ゆめは君
治療が下手くそとか?

内藤先生
まあそれはあるよね。ただ前も言ったけど、治療がうまいかどうかを判断するのはとてもむずかしい。

ゆめは君
歯医者さん同士でもその判断はむずかしいって言ってたね。

内藤先生
そうだね。すごく身近でみていたり、身近じゃなくてもその歯科医の話をちゃんと聞くことができたら判断できるけど。それに何をもって上手いか下手かというその判断基準もむずかしいしね。

ゆめは君
じゃあ患者さんにはあまりわからないのかな。

内藤先生
患者さんからしたら、自分が期待していたような結果にならないとき、その歯科医が下手なのかなって疑うかもしれない。

ゆめは君
それは不満だよね。

内藤先生
確かに、もしすごく期待してきて、その期待が満たされなかったらがっかりするよね。技術的にその期待に応えられるかどうかはとても大事。そのために歯科医もすごく努力するんだけど、どうも技術的な部分かなと思える不満や苦情も、コミュニケーションのエラーからきている場合が多いみたい。

ゆめは君
コミュニケーションのエラー?患者さんはどんな不満や苦情を訴えるの?

内藤先生
歯科医が話を聞いてくれないとか、あまり説明なく削られたとか、抜かれたとか。

ゆめは君
え?歯医者さんてそんな勝手なことするの?

内藤先生
その話だけ聞いていると、すごい勝手な歯科医だなって思うんだけど、たぶんその歯科医もそんなに勝手にやっているつもりはないと思う。

ゆめは君
歯医者さんは勝手にやるつもりはないけど患者さんは勝手にやられたように感じる?

内藤先生
歯科医は患者さんの話を聞いているつもりだけど、患者さんは聞いてもらっているように感じていないし、歯科医は説明しているつもりでも、患者さんには伝わっていないっていうことがある。

ゆめは君
なんでそうなっちゃうの?

内藤先生
まあ、現実的には、時間が限られているっていう問題が一つあるよね。短い時間で必要なことを聞いて必要なことを説明することになるからね。

ゆめは君
短時間ではなかなかちゃんと聞いてちゃんと伝えてってできないこともある?

内藤先生
そうだね。短時間ではむずかしいこともあるよね。前回話したけど、歯科医と患者さんとの前提が違うから。歯科医が当たり前におもっていることも、患者さんからしたら全然違うこともあるからね。

ゆめは君
時間的なことの他にも原因はあるの?

内藤先生
そうだね。歯科医の価値観が強すぎて、おしつけちゃっていることもあるかもしれない。

ゆめは君
価値観をおしつけちゃう?

内藤先生
患者さんは、こうなりたいとか、こうしてほしいとか、要望があることも多い。でもその要望は歯科医の常識からズレていると感じる場合もある。歯科医からするとこっちの方が良いのにっていう。

ゆめは君
要望が全然受け入れてもらえなかったら、話を聞いてもらえないってなるね。

内藤先生
そうなんだよ。先生自身も色んな人たちと話をしてきたけど、価値観を絶対ゆずらない人に話すと、まったくこちらの話が入っていってないなって感じるからね。最初から聞く気が無いっていうか。この人に話しても無駄だなって思うようになる。

ゆめは君
患者さんはそう思ったから歯科医が話を聞いてくれないって言うわけね。確かにまずはいったん聞いてほしいよね。

内藤先生
そう。まずはいったん聞いて、その想いや価値観を理解する。でも歯科医として自分の価値観で想いを伝える。その想いや価値観のゆずり合いによる話し合いで良い答えってみつかっていくもんだからね。

ゆめは君
じゃあ歯医者さんが価値観をゆずらないと、患者さんは聞いてくれてないって感じるってことだね?

内藤先生
コミュニケーションて双方向で成り立つものだから、歯科医が価値観をゆずらなくても、患者さんがゆずらなくてもうまくいかない。

ゆめは君
なるほど。

(次回へ続く)

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