教えて内藤先生 第23回 「患者はどの歯を治療されたか分からない?」

この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の常識や日常がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。


内藤先生
話せる歯科医

ゆめは君
辛口な小学校5年生

内藤先生
前回は、歯科医もタイミングによって答えが違うって話だったね。

ゆめは君
うん。歯科医療の進歩とか、歯科医自身の知識やスキルも変化するとか。

内藤先生
そう。その時々で変わっていくんだよね。でも変わらないものもあるよ。 

ゆめは君
変わらないもの?

内藤先生
うん。それをやる目的とかは変わらないね。その人を健康にするためにっていうような。

ゆめは君
目的は変わらないけど、その手段は変わるってことね。

内藤先生
そうだね。手段としては、どんどん新しく良いものを取りいれたり、良くないものは改善したり。

ゆめは君
大変だね。

内藤先生
一つの価値観や考え方に固執してたら大変かもね。柔軟でないと。

ゆめは君
柔軟性かあ。ところで、内藤先生に会うタイミングは、42歳が良いって話だったけど、何でなの?

内藤先生
あ、それはね、個人的理由が2つあって。

ゆめは君
2つ?

内藤先生
1つめは、色々と準備が整ってくるから。知識やスキルもそうだし、医院全体の仕組みや、このサイトとかもそうだね。

ゆめは君
まだ整っていないの?

内藤先生
うん。自分が目指すところにはまだまだかな。

ゆめは君
42歳までに整うってことね。

内藤先生
そうだね。その辺が一番、気力、体力、経験のバランスが整ってくるんじゃないかと。

ゆめは君
なるほど。で、2つめの理由は?

内藤先生
2つめの理由は、41歳で親を亡くしているから。自分の中で、41歳を越えるって1つのハードルなんだよね。

ゆめは君
それを乗り越えた42歳ってことか。

内藤先生
まあね。気力、体力、経験のバランスが整い、まだ生きれるぞって自信が持てる年。だからこそ患者さんに責任がちゃんともてるぞって思える年。それが42歳。

ゆめは君
なるほど。

内藤先生
もちろん、今も精一杯やってます。

ゆめは君
それは頑張ってください。

内藤先生
ところで先日、気づかされたことがあってね。

ゆめは君
何かあったの?

内藤先生
先生ね、治療をするときには大体、その歯をカメラで写真を撮って、こういう状態ですよって見せながら説明するんだけど。

ゆめは君
それはわかりやすいね。

内藤先生
それがね、この前カメラの調子が悪かったから、写真を撮らずに、治療を行ったんだ。

ゆめは君
そしたら?

内藤先生
次にその患者さんが来院したときに言われたのが、「先生に前回やってもらったところ、なんだかとてもブサイクな詰め物になってるんだけど」って。

ゆめは君
ん?そんなブサイクな詰め物したの?

内藤先生
いやいや、そこは先生が治療した歯じゃなかったんだよ。

ゆめは君
あ、その患者さんは先生が実際に治療した歯とは別な歯を治療されたって思ってたわけだ?

内藤先生
そう。先生が治療したのは、その歯より2つ奥の歯だったんだけどね。

ゆめは君
じゃあ、患者さんがブサイクな詰め物になってるってのは、もともとそうだったの?

内藤先生
そそ。確かに、段差があったり色が変わってきたりはしてた。治療を受けたことをきっかけに患者さんもそのことに気づいたのかもしれない。

ゆめは君
確かに、どの歯を治療されているかって患者さんはあんまりわかっていないのかもしれないね。歯をしっかり見ること自体もあまりしないかも。

内藤先生
歯科医はそう思って患者さんに接しておく必要があるね。それに写真での記録ってやっぱりわかりやすいし良いなって思うね。

(次回へ続く)

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