この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の想いや常識がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。
内藤先生
話せる歯科医
ゆめは君
辛口な小学校5年生
どこも痛いことないし、普通に生活しているし・・・。
一応、健康には定義があってね。良く言われているのは「身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態であり、単に病気がないとか虚弱でないということではない」っていう。
んー。何だか良くわかんないけど、病気じゃなくても、健康とは言えないってこと?
そう。たとえば、病気にかかっていなくても、悩みや不安てあるよね?
もちろん誰しも悩みや不安は抱えているものだけど、それが強いと健康とはいえない。
え?じゃあたとえば、お金がなくて将来が不安とかでも?
そう。不安が強すぎる場合には、精神的に良好な状態とはいえないからね。
それに仕事がうまくいかないとか、人間関係で困っているとか、そういう状態は社会的に良好な状態とはいえない。
たしかにね。すべてが満たされている状態ってなかなか難しいね。
本当にそう。それに健康ってとても幸せなこと。ゆめは君もそう思う?
でも健康であることの幸せって、健康が失われるから気づくんだよ。
当たり前になっちゃうからね。でも失われるとすごい大変なこと。
そうなんだよね。だからその当たり前を失わないために歯科医療にできることがあると思うんだよね。
自分の状態を知ってもらって、健康でいることを手伝う。まあ分かりやすい言葉で言ったら予防なんだけど、もうちょっと積極的に健康をつくっていくって感じかな。
そう。子供から大人、そして高齢者や通院できない方までね。しかもさっき言ってた健康の定義を意識してね。
体が健康な人が定期的に通ってくれる医療機関て歯科医院くらいだからね。しかも体の健康が失わられる前に、歯や口の中にその兆候が現れることも多い。だから健康が失われる前に健康をつくっていくことができるんじゃないかって。
これは、ただ虫歯や歯周病を予防する予防歯科ではなく、健康をつくるっていう目的で患者さんと関わる健康創造医療だと言えるね。これからはそれを歯科医院でやりたいね。
(次回へ続く)
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