教えて内藤先生 第45回 「悪くなるのは歯磨きを頑張っていないからなの?」

この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の想いや常識がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。


内藤先生
話せる歯科医

ゆめは君
辛口な小学校5年生

内藤先生
患者さんの中で、ときどき、歯科医に怒られるからなかなか歯科医院に行けなかったっていう人がいるんだけどね。

ゆめは君
歯医者さんに怒られる?どうして?

内藤先生
なんでこんなに悪くなるまで放っといたんだとか、歯磨きをちゃんとしていないからだとか。

ゆめは君
まあ、僕もお母さんに怒られることあるけど。ちゃんと歯磨きしなさいとかって。

内藤先生
それでしぶしぶ歯磨きしてるの?

ゆめは君
めんどくさいなって思うこともあるけど、なんでか歯磨きするのはそんなに嫌じゃないんだよね。

内藤先生
あ、それはお母さんにうまいことのせられてきたね。

ゆめは君
のせられた?

内藤先生
そう。物心つく前から、口や口の周りを触ったり、早くから歯ブラシを持たせたり、お母さんやお父さんの真似をさせたり。うまく歯磨きを嫌がらせずに習慣化させる取り組みをしたんじゃないかな。

ゆめは君
そうなんだ。

内藤先生
ゆめは君は今虫歯もないし、口の中は良い状況だね。歯の並びや咬み合わせも良いし。構造的にもとても良い感じ。

ゆめは君
こうぞうてき?何だかまたむずかしいこと言っているけど。歯並びとか咬み合わせって自分じゃ良くわからないけど、虫歯はないと思う。歯磨きもちゃんとしてるし。

内藤先生
子供の口の中をみると、どんな生活や育ちをしてきたのかっていうのがわかることも多いんだよ。

ゆめは君
え、そんなことがわかるの?

内藤先生
うん。口の中の形や機能、それに環境とかをみるとね。だから、子供の口は、暮らしや育ちの履歴書と言われているんだよ。

ゆめは君
へえ。

内藤先生
それでね、大人になったときに、もともととても厳しい条件になってしまっている人もいるんだよ。

ゆめは君
厳しい条件?

内藤先生
歯が悪くなりやすいってこと。

ゆめは君
歯磨きを頑張っても?

内藤先生
そう。もちろんしなかったらもっと悪いけど、頑張っていてもどんどん悪くなっちゃう人もいる。

ゆめは君
あ、だから患者さんが頑張っていないわけじゃないってこと?

内藤先生
うん。患者さん自身は何とか悪くならないように頑張っている。それにそうならないように何とか歯科医を頼っている。それでも悪くなっちゃう。

ゆめは君
それで歯医者さんには、歯磨きを頑張っていないからだって怒られるのは辛いね。

内藤先生
そう。やっぱり皆それぞれ条件が違うんだよね。とても良い条件の中で闘っていける人もいれば、何やっても悪くなっちゃうような厳しい条件下で闘っている人もいるんだよ。

ゆめは君
なんだかすごい不公平な感じがするね。

内藤先生
確かにね。厳しい条件の下で、歯や口の問題で困っている人は、本当に大変だから。歯科医としては、できるだけそれを良い条件にするような支援をすることが大事だって思ってるんだ。

ゆめは君
それは大事だね。何もしなくても悪くならないような良い条件になることをみんなが望むと思うよ。

内藤先生
うん。それに歯科医としては、厳しい条件の下で頑張っている患者さんの気持ちも理解しないといけないよね。

ゆめは君
そうだね。歯医者さんはそういう人を怒らないでほしいね。

内藤先生
歯科医も、怒るつもりも、責めるつもりもないのかもしれないけど。ただひとまとめに患者さんが歯磨きを頑張っていないからだっていう考え方は気を付けないといけないなって思う。

ゆめは君
患者さんからしたら、歯科医なんだから助けてくれよって感じだよね?

内藤先生
そうだよね。それを自分の歯磨きのせいばかりにされたらつらいよね。

ゆめは君
じゃあそんな患者さんがどんどん悪くなるのは、患者さんのせいでも、歯医者さんのせいでもない?

内藤先生
誰のせいってわけではないよ。今の歯科医療では、まだ太刀打ちできないことも正直あるし。

ゆめは君
そうなんだ?

内藤先生
そうだよ。まだ分かっていないことだってたくさんあるよ。歯科医療も日々進歩しているから。だからここで言いたいのは、患者さんの歯磨きが悪いせいだけじゃないってことと、もし悪くなっていくとしても、その時々で最も良い選択肢を探す努力をし続けることが大事ってこと。

ゆめは君
なるほど。

(次回へ続く)

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