教えて内藤先生 第20回 「なんで歯を抜かなければならないの?」

この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の常識や日常がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。


内藤先生
話せる歯科医

ゆめは君
辛口な小学校5年生

内藤先生
ゆめは君は歯を抜かれたことある?

ゆめは君
あるよ。

内藤先生
あ、あるんだ?なんで抜くことになったの?

ゆめは君
虫歯がひどくって。乳歯だったんだけど、残しておいたら永久歯に悪影響を与えるからって。

内藤先生
そっか。確かにそういうことあるからね。

ゆめは君
でもやっぱり歯を抜かれるのは嫌だったな。

内藤先生
そりゃそうだよね。ただ、歯科医療の大きな目的の一つとして、細菌感染の除去があるんだよ。歯が感染源となってて、残したままでは感染が広がるのを抑えられないときは、その歯は抜きましょうってことになるんだよね。

ゆめは君
絶対抜きたくないって言っても。

内藤先生
患者さんが絶対抜きたくないって言ってるのに、無理やり抜くってことはできないけど。

ゆめは君
あ、抜きたくないって言ったら抜かないこともあるんだね。

内藤先生
無理やり抜けないけど、まずは何でそんなに抜かれたくないのかを聞くよね。そもそも、その歯を何で残したいのかっていうことを。

ゆめは君
ん?どういうこと?

内藤先生
歯を抜かれたくない理由として、抜かれる苦痛に対する恐怖なのか、抜いた後どうなるのかという不安なのか・・・。

ゆめは君
理由なくただ抜かれたくないと言い張る人がいるってこと?

内藤先生
ただ漠然と歯を残すことが良いことだと思い込んでいる人もたまにいる。

ゆめは君
え?歯を残して良くないこともある?あ、細菌感染が抑えられない場合か。

内藤先生
そう。どんどん広がっちゃう可能性があったら、そうならないように感染源の歯を除去したいよね。

ゆめは君
感染が広がったらどうなるの?

内藤先生
命にかかわることもある。

ゆめは君
え?虫歯が原因で死ぬこともあるの?

内藤先生
まれだけどあるよ。特に、高齢者や免疫力が低下している人や、心臓病を持っている人は注意が必要なんだ。

ゆめは君
こわいね。

内藤先生
そうだよ。先生が歯科医になったばかりの頃、病院歯科で研修していたんだけど、そこで実際に目の当たりにしたんだよ。

ゆめは君
え?虫歯で死んだ患者さんを?

内藤先生
いや。緊急入院・緊急手術で一命をとりとめた。でもそのまま放置してたら亡くなってたと思うよ。

ゆめは君
助かってよかったね。でも本当にそういうこともあるんだね。

内藤先生
うん。健康で免疫力が低くなければ、そこまでいくことはまれだけど、虫歯を放置していて、歯肉や頬っぺた、首のリンパまで腫れるというくらいは結構ある。

ゆめは君
それでもこわいね。

内藤先生
さらに最近は、感染があって、周りに慢性的な炎症がある歯は、とても体に悪いってことが言われているよ。いろんな病気の原因になるかもって。

ゆめは君
もはやビビりすぎて頭に入ってきません。

内藤先生
じゃまた今度ね。

(次回へ続く)

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