この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の想いや常識がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。
内藤先生
話せる歯科医
ゆめは君
辛口な小学校5年生
歯科医になってつくづく思うけど、なかなか難しい仕事だね。
そりゃそうでしょ?すごい細かいことしてそうだんもんね。器用じゃないと無理そう。
もちろん大事なのは手先の器用さだけじゃないけどね。でも不器用より器用な方が良いよねって話。
じゃ僕はあんまり器用じゃないから歯医者さんになるのはちょっと無理かな。
いやそれは器用かどうかだけで決めなくても良いんじゃないかなと思うよ。そこまでは大きな要素ではないと思う。ゆめは君は絵描いたり、何かつくったりとかは好きだよね?
へえ。ならむしろ向いてそうだけどね。歯科治療って絵を描くとか何かをつくるとか、アートの要素がすごいあるなって思うからね。
そりゃなかなかわからないよね。でも器用か不器用かより、そういう絵を描いたり、何かをつくったりすることが苦じゃないってことの方が大きい気がする。
やることが苦にならないなら続けることができるでしょ?続けてたらその内上手くなるでしょ?
うん。それに自分が描いた絵とか、何かつくったものが、人に役に立ったり、喜んでもらえたら嬉しくない?
そのための努力できるでしょ?そういう気持ちがあれば最初は下手でも絶対上達するからね。
そっか。まあ歯医者さんになりたいかはわからんけど。
はは。それはゆっくり決めたら良いよ。自分に向いている仕事をした方が絶対良いからね。
そうだよね。先生も歯科医が自分に向いてるかは正直良くわからないから。
まあね。でも向いていない仕事ってやってみると結構すぐわかるよ。やっていることが苦だからね。
そうだね。しんどいこともあるし、うまくいかないときもあるけど、何とかしようと努力することが苦じゃないんだよね、不思議と。
まあ自分が何かすることによって、誰かの役に立ったり喜んでもらえるのを実感できる仕事ってやっぱやってて楽しいよね。
喜ばれたらそりゃ嬉しいよね。でも歯医者さんて嫌がられることも多そうだけど。
そうなんだよね。歯医者さんが好きですっていう人って少ないよね。できたらお世話になりたくないって思われているような。
痛いことされたり、恐いイメージがあるからね。とりあえず口開けて、何かされてる感じ。
そっか。これからの歯科医はそれだとまずいなって思うね。だからこれからの歯科医はちゃんと患者さんが何でも話せる雰囲気をつくっていく必要があると思うんだよね。
患者さんからしたらその方が絶対安心だよね。お金もすごいかかるイメージあるし。
そうだね。安心してもらえることはとても大事だよね。でも歯科治療が難しいなって思うのは、やっぱり話し合いや安心だけじゃ解決しないこともあるからなんだよね。
そう。いくら勉強して頭では理解して、患者さんにも安心して治療を受けてもらえるとしても、やっぱり治療技術がちゃんと無いと、患者さんを良い状態にできないし、喜ばせられない。これがあるから、歯医者はやっぱり器用じゃないとって話になるんだけどね。
そういうこと。でもわかっててもできないことがある。これが歯科治療の難しさ。患者さんの話を良く聞く。それでこうしてあげれたら良いとわかる、でもそれができない。だからできるようにスキルを高める。その繰り返し。どこまでも終わりはないと思う。
でもうまくいけば喜んでもらえるからね。だから苦なく続けられているよ。
(次回へ続く)
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