この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の想いや常識がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。
内藤先生
話せる歯科医
ゆめは君
辛口な小学校5年生
前回も話をしたんだけど、歯科医療の業界に入って感じた事は、客観的な指標となる検査があまりないなって感じたんだよね。
検査がないって言ってたね。検査ってそんなに必要なの?
検査がないとね、患者さんが痛いなどの自覚症状を訴えたり、目に見えて腫れているなどの変化が出ないとなかなかわかりにくい。
もちろん検査がなくても分かるものもあるけど、慢性的な病気ってかなり悪くなるまで自覚症状が出ない。
じわじわと悪くなっていくような病気のことね。糖尿病やがんなどの生活習慣病、リウマチなどの自己免疫病など。難しいかもだけど。
うん、難しい。気付かないうちに病気がすすんでいるってこと?
そう。そういう病気って検査で何か指標がないと判断ができないんだよ。
自分で分かるくらいになってきたら病気はかなり進行してる。だからそうなる前に察知したい。そのためには検査して数値とか画像とかで分かりやすく示せないといけないんだよ。
ところでね、川に橋が架かっているのをイメージしてみてくれる?
そうだよね。川に落ちた人達を何とか救助して病院に運ぶ。そこで行われるのが命を救う医療なんだよ。
もちろんそれは大事な医療なんだけど、助けられる人数も限られるし、助けられない場合もある。それに命は助かっても後遺症で自立した生活を続けられなくなってしまう人もいる。
橋から落ちた人を救うのは大変。だから同時に橋から落ちることを防ぐことも大事なんだよ。
だから、橋を整備したり、橋から落ちかけている人を助けたりすることも、大事な医療なんだってこと。
橋の整備も壊れてからだと遅いよね?でも壊れる前にそれを調べるには検査しかない。
その人の健康状態や予後を判断するには検査が重要だね。
(次回へ続く)
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