この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の想いや常識がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。
内藤先生
話せる歯科医
ゆめは君
辛口な小学校5年生
歯科医療の業界に入ってきて、違和感を感じたことがあるんだけどね。
そう。たとえば血液検査とか尿検査とか。病院いくとするよね?
虫歯の検査っていったら、磨き残した歯垢がどれくらいあるかを染め出して見るとか。
でもね、それって検査する人によってだいぶ違うし、検査する日やタイミングによっても結果が全然違っちゃう。
だって、歯科医院に来る前に一生懸命歯を磨いてきたとしたら、あんまり悪い結果にはならないしね。
うん、それだと50点。虫歯菌がつくる酸が原因。虫歯菌は砂糖のような糖分を分解して酸をつくる。
虫歯菌×糖分=酸。この酸が歯を溶かしていく。これが虫歯のメカニズム。
原因とメカニズムが分かっているなら、その原因をコントロールしたら虫歯にならないようにできるよね?
それで大事なのは、どんな虫歯菌が多いか、虫歯になりやすい食習慣をしていないか、酸を中和する能力はどれくらいあるのかの情報を得ること。
うん。検査でわかる。その人の虫歯のなりやすさや改善点を示すとき、その客観的情報があると伝えやすい。
唾液検査でそれを行うようになってきたよ。病院に言ったら血液検査をするように、歯科医院に行ったら唾液検査をする感じで。苦痛なくできるしね。先生の所属している医院ではその検査を皆にするようにしているんだよ。
唾液って色んなことが分かるようになってきたからね。これからはその人の健康状態を把握するのに唾液が使われることも増えるかもしれない。
(次回へ続く)
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