この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の常識や日常がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。
内藤先生
話せる歯科医
ゆめは君
辛口な小学校5年生
そうみたいだね。左利きの人の生活環境を良くしようっていうのが目的みたいだよ。
そうなんだと思うよ。右利きの人が多いから、色んなことが右利き用につくられてるもんね。
改札とかも右利き用にできるし、実は歯科医療で使う器械や道具も右利き用でつくられていることがほとんどだね。
え?じゃあ左利きの人は歯科医になったら大変だね?左利きの人っていないの?
そうなの?でも書いたりするのは右で書いているよね?
子供の頃から、書くことは右でしてたから、歯を削ることはその延長線でできたかな。
ボールを投げたり、改札に切符をいれたり、鍵を開けたり。あと、ペットボトルのキャップを開けるのも左かな。
そう、ぐちゃぐちゃ。でもね、最初は右で投げてたんだよ。ただ少年野球をやってて、あまりにも下手で上達しなかったらしいんだよ。小学2年くらいかな?
そのとき親が、左で投げさせたらどうかってためしたら、それが結構うまかったらしくて。
そう。野球で今まで、左投げ右打ちって人あんまり見たことない。
逆は結構いるけどね。だって左投げは良いけど、左打ちの人の方が有利だもんね。左利きであえて右打ちにする人いないし。
そうみたいだね。中学からはバスケットボールを始めたけど、それは左でやってたよ。でも卓球とかバドミントンは右だったな~。
歯科治療を行う環境は、右利き用につくられているから、当たり前に右でやってることが多くなってるのかもね。
正直、力や感覚が良いのは左だと思う。どちらかというと右は環境的な問題で勝手に訓練されてきたって感じかな。
正直最初はちょっと困るとは思う。でもそこで乗り越えると逆に有利になるとも思うよ。
どこの世界でも結構言われるかもしれないけど、歯科治療を行う上でも、利き手じゃない手、つまり左手の使い方が大事って言われるんだよね。特にレベルが高くなるほど。研修時代の指導医の先生で、すごく手術の上手な先生は、どっち利きか分からないくらい両手使ってた。どうも実は左利きって話だったけど。
間違いなく言えることは、左手をうまく使える人は相当努力している。だから治療が上手な可能性が高い。右利きなら相当左手の訓練を積んでいるし、元々左利きなら、右で治療するのに相当訓練を積んでいるし。
その質問に答えるとしたら、大丈夫って答えるよ。今だと、左利きの器械もあるし、訪問診療で使うような持ち運びの器械もあるし。環境的にも困らなくなってきてるかな。
でも右利きの人が通らない道を通ることになるからそれなりの努力はいるよ。だからこそ違う景色が見えるし、気づいたらすごい所に辿り着いているかもしれない。
(次回へ続く)
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