話せるブログ 第85回 感性&思考「人をみる解像度を上げた歯科医療」

この連載について
一人ひとりの答えが違う歯科医療。そんな中、話せる歯科医は、患者さんの言いなりでもなく、自分勝手でもない。科学的な根拠も大事だけど、ときに感覚やあいまいさを優先する。ではいったいどんな歯科医が話せる歯科医なのか? 私、内藤の経験や物語をとおして、話せる歯科医をひも解いていきます。ここには、これからの歯科医療における答えの決め方のヒントがあるはずです。

これからは個の時代だ。
多様性を尊重しよう。
そんなことを聞く機会が
多くなってきました。
人間という存在は
抽象的にとらえれば、
皆が同じようにみえます。
でも解像度を上げてみてみると、
一人ひとり違いがみえてきます。

昔に比べると、社会全体として、
人をみる解像度が
上がっているように感じます。
たとえば、教育においても、
昔は、皆同じように育てようという
風潮が強かったのに対して、
今は、一人ひとりの個性を
尊重して育てようという風潮が
強くなっているように思います。

歯科医療もそうです。
昔は非常にアバウトでした。
患者さんの訴えも、痛みがほぼすべて。
歯科医はとりあえず
歯の痛みを何とかするところ。
歯科医も、抱える患者さんの数が多すぎて、
一人ひとりの患者さんと
向き合う時間などなかったようです。
だから教育と同じで、皆に同じ治療をして、
同じ結果を出せる単純な流れ作業に
するしかなかったのかもしれません。

患者さんの話を聞いてる時間も、
しっかり説明する余裕もなかったと思いますから。

今でもその名残はありますが、
明らかに時代は変わってきているように思います。
患者さんも、社会全体も、
今はそんなにアバウトではありません。
だから、流れ作業のように
皆に同じ治療をしても、
昔に比べると、満足してくれる患者さんの割合は
明らかに減ってきたのではないかと思います。

患者さんは一人ひとり違います。
生体の特性、考え方、その時の事情など、
解像度を上げてみていけば、
多くの違いがみえてきます。
そんな違いのある人間に対し、
皆同じように治療し、
皆同じような満足を得ようと思っても
どう考えてもそれは無理な話です。

だからこれから求められるのは、
人をみる解像度を上げた歯科医療だと
考えています。
それは社会全体として
人をみる解像度が上がっているのですから
もはや仕方のないことです。
歯科医は患者さんのことを

もっと解像度を上げてみなければなりません。
でも多くの歯科医は
この解像度を上げることが難しい。
それは多くの歯科医がある2つのことが
苦手だからです。

その2つとは何でしょうか?

一つは、検査です。
その患者さんの生体特性を知るために、
検査が必要になります。
検査によってその患者さんの状況把握や、
予後予測を行います。
そしてそれを患者さんと共有し、
その患者さんに合った方針を
立てられるようになります。
でも歯科医療業界に、
この検査をする文化があまりないのです。
これを当たり前にしていかなければなりません。

そしてもう一つは、対話です。
歯科医は、その患者さんがどんな人なのかを
良く知る必要があります。
対話を通してその患者さんを良く知り、
さらにその時の患者さんの
事情や感情を読み取ることで

患者さんにとってより納得できる方針を
決めることができるようになります。
この対話についても、検査と同様、
歯科医療業界においては、
その文化が弱いように感じます。

歯科医療が個々の患者さんの人生にとって、
より良い意味をなすものにしたいと思ったら、
皆を抽象的に同じようにみていては
そうなっていきません。
一人ひとり違うという前提で、
検査や対話をちゃんと行い、
解像度を高くその患者さんをみることが

必要になると思います。

(次回へ続く)

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