話せるブログ 第58回 感性&思考「本当に選びたい治療方針をみつける専門家」

この連載について
一人ひとりの答えが違う歯科医療。そんな中、話せる歯科医は、患者さんの言いなりでもなく、自分勝手でもない。科学的な根拠も大事だけど、ときに感覚やあいまいさを優先する。ではいったいどんな歯科医が話せる歯科医なのか? 私、内藤の経験や物語をとおして、話せる歯科医をひも解いていきます。ここには、これからの歯科医療における答えの決め方のヒントがあるはずです。

先日来院した患者さんが、
こんなことを言っていました。

「大学病院に行ったら、
歯周病の治療をすること、
歯の神経の治療をすること、
歯を抜くこと、

つめものやかぶせを入れること、
入れ歯をつくること、
全部、それぞれの別な科にかかって、
それぞれ別な先生が出てくるんです。
同じ科でも、
しょっちゅう先生が
変わっちゃうし。

私は金属アレルギーもあるし、
どんな治療が良いのか
相談したいんですど、

全体的に、私のことを
理解してくれている
先生がいないんです。」

たしかに、
患者さんにとっては
とてもわかりにくいかも
しれませんが、
歯科医学という分野は
実はさらに細かく分野が
分かれています。

今は当たり前になって
しまいましたが、
私も、大学の歯学部に
入学したときには、

歯科医学の中にも細かく分野が
分かれていることを知り、

少し驚いた記憶があります。

それに伴い、
大学病院では、
それぞれ細かく診療科が
分れています。

どんな診療科あるかというと、
口腔外科、
歯科麻酔科、
歯科放射線科、
小児歯科、
矯正科、
予防歯科、
歯周病科、
冠・ブリッジ科、
義歯(入れ歯)科、
歯の診療科、
口腔リハビリテーション科、

などなど。

勉強してみると、
それぞれの分野で奥が深く、
掘り下げていくには、
細かく分かれる必要があることに
納得もできますが、
患者さんからすると、

わかりにくいとは思います。

歯科医なんだから、
みんな同じじゃないのって。
大体知っているんじゃないのって。

すべての各専門分野を
その専門家と同じくらい
知り尽くすことは
むずかしいですが、
それでも実際に
患者さんをみる歯科医は、
各分野の知識や技術を総動員して、
総合的にその患者さんを
みる必要があります。

歯を一本治療する場合でも、
その治療結果は、
実は、その歯だけじゃない
別な要因も関わってきますから。

それに治療にかけられる時間や費用も
患者さんによって違います。
患者さんが譲れないものや、
妥協できることも、
それぞれ違いますし、
だから実際の治療のゴールは
患者さんによって一人ひとり
違うものになって当然ですよね。

だからこそ、
限られた資源の中でも

その患者さんにとって
今の最適な選択を一緒に
考える歯科医も必要だと
思うのです。

それは、
限られた時間の中で、
いかに相手が望む
完成度の高い
絵を描くかに少し似ています。

絵を描くとき、その完成度は、
全体的な仕上がりの
バランスが大事になります。
部分的に完成度が高いのに、
その他の部分は
まったく描けていないとしたら、
その絵の満足度や完成度は、
低くなってしまいます。

(たぶんです。
絵の専門家でもないのに

すみません・・・m(_ _)m)

大事なのは、
どんな絵を描くのか、
そしてその絵の完成度を
高くするために、
どの部分を誰が描くのか。

歯科医療でも同じです。
患者さんが望む治療方針は何なのか。
それをみつける。
そしてそれを達成するために、
最も良い方法を一緒に考える。
必要な部分は、各専門家に
お願いする。

それができる専門家が
話せる歯科医だと思うのです。

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