話せるブログ 第28回 感性&思考「患者さんの言いなりの歯科治療の危険性①」

この連載について
一人ひとりの答えが違う歯科医療。そんな中、話せる歯科医は、患者さんの言いなりでもなく、自分勝手でもない。科学的な根拠も大事だけど、ときに感覚やあいまいさを優先する。ではいったいどんな歯科医が話せる歯科医なのか? 私、内藤の経験や物語をとおして、話せる歯科医をひも解いていきます。ここには、これからの歯科医療における答えの決め方のヒントがあるはずです。

歯科医として、
患者さんの抱える悩みや問題を
解決したり、期待や要望に応える
ということはとても重要です。

ただそれは、
患者さんの言いなりの治療をする
ということではありません。

患者さんの言いなりの治療。
これは言い換えると、
患者さんの感覚のみに
頼った治療という意味です。

歯科医療には、
2つの大きな目的があります。

①悪い部分(感染源など)を取りのぞくこと。
②失われた形と機能を回復させること。

この①と②は、
セットになることが多いです。

たとえば、
虫歯の感染歯質を削り(①)
削った部位を詰める(②)
どか、
感染した歯を抜き(①)
入れ歯を入れる(②)
などです。

目的①の場合でも
患者さんの訴える感覚ばかりを
頼りにしていると、手遅れになってしまうことがあります。

②の場合でも、
患者さんが経験したことがない、
あるいは、
患者さんには想像できないこと
でもあるので
患者さんの感覚だけで決めると
将来的に不都合が起こってしまうことがあります。

悪い部分を取り除くというとき、
全部取り除くことが当たり前だと
感じるかもしれませんが
何を悪い部分と判断するか、

どんな順番で取り除くのか、
その先の形や機能の回復が
ちゃんとできるのかということも
含めて判断していかなくてはなりません。

だから、
その患者さんの形や機能を
どのように回復できるかを考えながら、
どの程度悪い部分を取り除くのかを
決めていくことになります。

取り除かなければ、
悪くなるリスクが高くなる。
取り除きすぎると、
形や機能の回復が難しくなる。

歯科治療には、
そういう相反する部分があるので、
長期的に良好な結果が見込める
ようなバランスで決めることも
歯科医の技量だと思います。

ただここには、
歯を抜くか抜かないか、
どんな被せものや入れ歯を
選ぶかなどの選択もあり、
患者の価値観や経済状況などの
背景も関わってきますので、
歯科医が勝手に決めるわけにはいきません。

歯科医療の中には、
歯科医が
勝手に
決めてはいけないことと、
患者さんの意見を聴きながらも、
勝手に決めるべきこと
があるということです。

私がまだ
歯科医になったばかりの頃、

先輩の歯科医がこんなことを言っていました。

「そこそこ患者さんに
満足してもらえるようになったけど、
俺、患者さんの言いなりに
治療してるだけだからなあ。」

その先輩歯科医の口ぶりからすると、
たぶんこれじゃいけないんだと
思っているように見えました。

経験の浅い先生ほど、
また気の優しい先生ほど、
患者さんの言いなりになってしまう傾向がありますが、
歯科医として、
さまざまな患者さんの診ていくと、
それだけではだめなんだと思うようになりました。

患者さんの言いなりに治療を行っていると、
その積み重ねの先には、
とんでもない未来が待っていることがあるからです。
歯科医からしても患者さんからしてもです。

私は一体患者さんの
どんな未来をみてきたのでしょうか?

(次回につづく)

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