話せるブログ 第36回 物語「顎が歪んできた!?低い被せものが引き起こした問題」(あとがき)」

この連載について
一人ひとりの答えが違う歯科医療。そんな中、話せる歯科医は、患者さんの言いなりでもなく、自分勝手でもない。科学的な根拠も大事だけど、ときに感覚やあいまいさを優先する。ではいったいどんな歯科医が話せる歯科医なのか? 私、内藤の経験や物語をとおして、話せる歯科医をひも解いていきます。ここには、これからの歯科医療における答えの決め方のヒントがあるはずです。

この物語(全6話)のおさらい
第1話 第2話 第3話
第4話 第5話 第6話

私は普段、
治療工程が多く、
とても複雑な治療や、
結果が不確実な治療については、
事前の話し合いを
特に慎重に行います。

治療を始める前に
治療結果が良い場合も
悪い場合も含めて、
できるだけ治療結果の
イメージを、患者さんにも
共有して頂くように
努力したいと思っています。

ただこれを事前に
完璧に行うことは
とても難しいのです。

正直なところ、
私自身も治療を始める前には、
そのイメージがクリアに
なっていないことがあります。

患者さん抜きに勝手に
明確なゴールを
形づくれないからです。

歯科医と患者さんは
共に協力しながら
最終ゴールの形を
つくっていくことが
必要だとおもっています。

だから明確なゴールが
形づくられていない
最初の段階で
患者さんにちゃんと
伝わるわけがありません。

そんなときはどうするか。
それはもうやってみるしかありません。

確実な結果が出る部分の
治療を進めたり、
後戻りできるような形で
仮の治療を進める中で、

私の中でもボヤ―っと
しているゴールのイメージが、
だんだんとクリアになっていきます。

吉沢さんの場合にも、
まずは仮歯に置き換えて、
咬み合わせの変化による
吉沢さんの身体の反応を診ることで、

だんだんと最終的な
治療ゴールがクリアになってきました。

吉沢さんの場合には、
過去に記録もあり、
仮歯に置き換えることで
良い方向に向かう可能性が
高いと判断しましたが、
それでも良い方向に向かうとは
限りません。

患者さんからしたら、
結果の善し悪しが
はっきりしない
グレーな状態で、
その歯科医を信頼し、
治療を受けていかなければ
ならないことになります。

あまりにもその形が、
ぼんやりしていたら
決めることができないと思います。
ただ、仮歯などで、
治療が進んでいくと、
患者さんもゴールの形が
すこしみえてくるし、
実際にそのときには
患者さんの想いが
変化していることもあります。

費用や時間も当然
気になるところだと思います。

歯科医サイドで
勝手に話が進んで
後から急に高い費用が
かかると言われても
納得がいかないと思います。

吉沢さんも仮歯の治療など
によって、具体的な
治療結果のイメージを
もつことができ、
インプラント治療にも
より納得して不安なく
すすめたように思います。

ただ経済的な状況変化により
インプラント治療を受ける
タイミングを気にされていました。
そのことについても、
事前に話し合いを行い、
最終的には、費用など
のこともクリアにして
インプラント治療へ
臨めたのではないでしょうか。

そしてわたしたち歯科医側も、
納得できるプロセスを
経ることができるようにしたい
と思っています。
それはつまり良好な予後が

みこめる形でインプラント治療
を進めたいということです。

インプラント治療に限りませんが、
歯科治療で、何か人工的な歯を
入れる場合には、
入れたときが最も良い状態で、
徐々に悪くなっていくことは
避けられません。

いかに持たせられるかが
勝負となります。

だから歯科医にしたら、
治療終了後からが
本当の勝負の始まり
とも言えるのです。

治療した責任はずっと
続いていくことになりますから、
その重圧はなかなかのものです。

ただ歯科医の努力だけで
良好な状態を維持できるかというと
そうではありません。
患者さんの協力も必要になります。

歯科医と患者さんとが
その責任を共有した
お互いの協力関係を
築くことができれば、
良好な状態を維持できる

可能性がとても高くなるのです。

私たちと吉沢さんは
そんな関係性を築き、
長期的に良好な状態を
目指していきます。

※ここでの物語はすべて実話に基づいていますが、登場する方々の氏名は仮名であり、個人が特定されないように配慮をしている点をご理解ください。

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