この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の想いや常識がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。
内藤先生
話せる歯科医
ゆめは君
辛口な小学校5年生
へえ。言われるんだね。でもなんで勉強しなさいって言われても勉強してないんだろう?
え?なんでかな?勉強が好きじゃないからかな。もっとやってて楽しいことあるし。ゲームとか。
そうだよね。好きじゃないことをやれって言われてもなかなかできないよね。
でも歯医者さんになるには勉強しなきゃだったんじゃないの?
歯医者になろうって思ってからは勉強したけどね。でも20歳くらいまでは全然勉強してなかったなって思う。
うん。全然好きじゃなかったし、なんで勉強しなければいけないのかも分からなかったしね。
たしかに〜。皆がやってるし、やらなきゃいけないものなんだって当たり前に思ってたけど、なんで勉強しなきゃいきないんだろう?
それってすごい難しい質問だよね。正直勉強って言ったら、学んでることすべて勉強なんだけど、ゆめは君が勉強しなさいって言われるのは国語とか算数とかのことだよね?
そっか。それ自体が楽しかったり好きなものは、あんまりやれって言われないもんだよね?
そうそう。やりたくないことばっかりやれって言われる気がする。
はは。でも勉強しなさいっていうのは、ちゃんと歯磨きしなさいっていうのと一緒だね。
ほんと、勉強とか歯磨きとかめんどくさいことはやれって言われるけど。楽しいことはやれってあんまり言われない。
楽しいことはほっといてもやってるから言わなんだろうね。でも勉強とか歯磨きはほっといたらやらないからやれって言われるのかな。
楽しくもないめんどくさいことってなんでやらなきゃいけないのかわからないとなかなかやれないよね。
う〜ん。やっておいて損はないよね。ただもしそういう勉強以外に自分が本当に興味をもつことがあるならそれも絶対一生懸命やるべきだよね。
そうだね。一応、世の中のルール的には受験で学校に行かないとできないこともあるからね。その受験に合格するために勉強しなさいっていうのが一般的だよね。学校行かないと歯医者できないし。
やりたいことをやるにはまずやりたくないことをやらないといけないみたいな感じはあるかな。そこで試されてるというか。努力できる人かどうかってことなんだと思うんだけど。何やるにも楽しいときばっかりじゃないからね。
そうだね。受験は基礎レベルを上げて、それで競争しているようなものかな。
あんまり競争も好きじゃないんだよね。先生は競争好き?
子供の頃は結構好きだったかな。でも大人になるほど競争は好きじゃなくなってきたかな。競争も嫌だし、周りと比較されること自体が嫌になってきた感じ。
競争とか比較とか、それについても今度話したいテーマではあるけど、今日本当は言いたかったことがあってね。
そうそ。人はなんでそれをやるのか、やらないといけないのかってことが、自分で納得できて必要だと感じたら勝手にやっていくってこと。やれって言っても人はなかなかやらないものだからね。
そういうことが言いたかったのね。でもそれが難しそうだけど?
うん。それが難しい。ただ歯科治療をする上でもすごくそれって重要なことでね。だからどうやったらそれができるのかってことを話したかったんだけど、長くなってきたからまたの機会に話しましょう。
(次回へ続く)
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