この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の想いや常識がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。
内藤先生
話せる歯科医
ゆめは君
辛口な小学校5年生
そうだね。自分の王将は守りつつ、相手の王将を先に取る。その戦略を練る勝負だね。
うん。今けっこう話題だよね。若いプロがすごい活躍している。
そうらしいね。だから素人からしたら、まだ途中なのにって見えちゃうこともあるよね。
そう。先を読んでいるプロにはわかるんだろうね。その時点で勝負は決まったって。
いや、将棋でね、勝負が決まったっていう時点を詰みっていうみたいなんだけどね。
うん。その詰みの状態が、歯科治療のときにもあるなって。
いや別に患者さんと勝負しているわけじゃないんだけどね。治療を進めていくときにこれはうまくいくなってわかる時点があるという意味。
もちろん、事前の話し合いや状況で、これはいけるなっていう場合も多い。ただ非常に不確実な結果を期待して行う場合や、複雑な治療計画の場合などは、やってみないとわからない部分もある。事前にすべてを予測することは難しい。
なるほど。だからやってみて最後までやり切らなくても、ある時点でこれはいけるなっていう時があるってことね。
そうそう。それが将棋で言うところの、詰みの状態かなって。そしてその詰みと分かる時点が経験によってどんどん早くなるなって。
将棋は下手くそだけどね。でも自分の治療によって起こる不確実な結果も含めて先を読みながら治療を進めているかな。
じゃあ経験をどんどん積むと、会って見ただけで、先の結果をかなり読むことができるようになる?
会って話して、口の中をみれば、かなりその先のことまでが読めるようになっていくと思う。そして治療した場合としなかった場合やどんな治療方法を選ぶかなどでその先が変わってくるけど、それぞれのパターンを読んで、最終的にその患者さんに最適な手を打つ。なんてことができると。
事前にそんなきれいに分かることばかりじゃないけど、その精度をどんどん高めていきたいよね。
(次回へ続く)
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