教えて内藤先生 第33回 「レントゲン写真て必要なの?」

この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の常識や日常がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。


内藤先生
話せる歯科医

ゆめは君
辛口な小学校5年生

内藤先生
レントゲン写真てわかる?

ゆめは君
うん。白黒の影絵みないやつね。

内藤先生
じゃあエックス線写真は?

ゆめは君
エックス線?わからない。

内藤先生
レントゲン写真の言い方を変えただけ。

ゆめは君
じゃあレントゲン写真とエックス線写真は同じもの?

内藤先生
そう。レントゲンていう人が発見したエックス線を使って撮った写真。それがレントゲン写真と呼ばれたり、エックス線写真と呼ばれたり。正式なのはエックス線写真の方みたいだけど。

ゆめは君
あ、レントゲンて人の名前だったのね。

内藤先生
患者さんはレントゲン写真って言った方が通じる感じはあるよね?

ゆめは君
うん、レントゲン写真の方が良く聞く気がする。

内藤先生
じゃあここでは一応レントゲン写真って言い方をしよっか。このレントゲン写真だけどね、歯科の検査としては欠かせないものになってるんだよ。

ゆめは君
確かに良く撮られるイメージあるね。

内藤先生
歯科医が患者さんの状態を知るために必要だからね。

ゆめは君
なんで必要なの?

内藤先生
そうだね、一つは、目では見えない部分を映してくれるから。

ゆめは君
見えないっていうのは、先生が患者さんの口の中をみても見えない場所があるってこと?

内藤先生
そう。例えば、歯と歯の間は完全に歯が接触しているから、その部分はみえないし、歯肉の中に埋まっている歯の根っこの状態とかアゴの骨の状態とかもみえない。

ゆめは君
結構みえないことあるね。

内藤先生
そうだよ。もちろん、口の中をみて、見えない部分を推測することはできるけど、実際にみることができるって確実だよね。

ゆめは君
確かにね。

内藤先生
それに、実際にみることができるっていうのは、状況や治療の必要性を患者さんに伝えるときに役立つね。

ゆめは君
患者さんに伝えるため?

内藤先生
そう。だって治療が必要だって言われても、その証拠がほしくない?

ゆめは君
まあ、信用できる歯医者さんなら別にいらんけど。

内藤先生
信頼関係あれば確かにそうかもね。でも歯科治療って、削ったり、切ったり、抜いたり、患者さんからしたらできるだけされたくない苦痛なこと。

ゆめは君
できたらされたくないです。

内藤先生
だから歯科医も患者さんもお互い納得できる根拠があった方が良いよね。これは今治療した方が良いよねっていう。そのためにも今の状態を視覚的に伝えられるって大事なんだ。

ゆめは君
なら仕方ないかって思えるもんね。

内藤先生
歯科医院で撮るレントゲン写真には、いくつか種類があってね。一つは、小さい四角いフィルムを口に入れて撮るもの。これは歯を細かくみるために適している。通称デンタル。

ゆめは君
デンタル?口の中に入れるやつね。あれ意外と苦痛なんだよね。

内藤先生
奥歯のときとか、オエっとなったりするよね。二つ目は、全体像を把握するのに適しているもの。通称パノラマ。

ゆめは君
パノラマ?画面全体に歯が並んでいるやつか。

内藤先生
そう。このパノラマ写真は、全体像をみることで結構いろんなことがわかるんだよね。1年1回くらいこの写真を撮っておくと、治療の経過とか、その患者さんの経年的な変化をみることができるから定期検診をしていくのにとても役立つんだ。

ゆめは君
もしやまだまだある?

内藤先生
まだあるけど、この二つが一般的かな。後はもっとしっかり顔の骨格的なことを知りたいときに撮る写真(通称セファロ)とか、三次元的に細かくみることのできるCTなんかもあるよね。全部エックス線を利用している。

ゆめは君
なるほど。同じエックス線写真でも目的によって色々あるんだね。

(次回へ続く)

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