この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学５年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした２人の気さくな会話から、歯科医の常識や日常がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。

内藤先生
話せる歯科医

ゆめは君
辛口な小学校５年生

内藤先生

以前出席した学会で、医師と歯科医の仕事の意義をわかりやすく言ってた先生がいてね。

ゆめは君

仕事の意義？

内藤先生

うん。その先生が言ってたのは、医師は命を救うって。

ゆめは君

そうだよね。お医者さんてそういう仕事ってイメージ。

内藤先生

じゃあ、歯科医の仕事は何て言ってたと思う？

ゆめは君

え？歯を守るとか？

内藤先生

そうだね、もちろんそういう仕事だよね。ただその先生が言ってたのはそうじゃないんだ。ヒントはね、同じように、歯科医は〇〇を救うって言ってたんだ。

ゆめは君

〇〇を救う？

内藤先生

そう。〇〇には何が入ると思う？

ゆめは君

医師は命を救う。歯科医は・・・なんだろ？わかんない。一体歯科医は何を救うの？

内藤先生

難しいよね。その先生が言ってたのはね、歯科医は人生を救うって。

ゆめは君

歯科医は人生を救う？

内藤先生

そう、人生を救う。すごく上手な表現だなって思ったよ。たぶんその先生は、間違いなく話せる歯科医だと思う。

ゆめは君

へえ。ん？話せる歯科医っていっぱいいるの？

内藤先生

話せる歯科医っていうのは、こんな歯科医だよっていうコンセプトを表した言葉で、先生がつくったんだけど、人生を救うには、間違いなく話せる人でなくちゃだめでしょ？

ゆめは君

そりゃそうだね。話せない、話にならないような人が、人生を救えるわけないね。

内藤先生

話にならない人って・・・。たまにいるけど（笑）

ゆめは君

そんな人に、いちいち自分の人生の話しないしね。

内藤先生

うん。そうなんだよね。本当にその人の人生を救おうと思ったら、その人のことを知らないといけない。そのためには、まず話してもらえないといけないんだ。

ゆめは君

そっか、まずはその人のことを知らないといけないんだ？

内藤先生

うん。歯科医療の治療方針に一つの正しい答えはなくって、患者さん一人ひとりで違うっていうのは、何度も言ってるよね？

ゆめは君

うん、何度も聞いてる。その患者さんの治療方針を決めるには、その人のことを知らないといけないってことだね。

内藤先生

そのとおり。個々の患者さんの背景や価値観、経済状況なども含めた環境も関係してくるからね。だから、どの治療方針を選択するかは、どう生きるかに近いんだ。

ゆめは君

それも先生良く言ってるよね。

内藤先生

うん。どんな歯科医に出会って、どんな治療を選択するかで、本当にその人の人生は大きく変わることがあるって思う。

ゆめは君

へえ。大げさな感じもするけどね。

内藤先生

たしかに、人によっては大げさなことかもしれないし、歯科医の価値観を勝手に押し付けることも良くないよね。だからこそ話せる歯科医であることがすごい大事だと思うんだ。

ゆめは君

うん、大事だ。

（次回へ続く）