この連載について
一人ひとりの答えが違う歯科医療。そんな中、話せる歯科医は、患者さんの言いなりでもなく、自分勝手でもない。科学的な根拠も大事だけど、ときに感覚やあいまいさを優先する。ではいったいどんな歯科医が話せる歯科医なのか? 私、内藤の経験や物語をとおして、話せる歯科医をひも解いていきます。ここには、これからの歯科医療における答えの決め方のヒントがあるはずです。
新型コロナウイルスの感染拡大
により緊急事態宣言が出されました。
外出自粛や休業要請が出され、
各業界で混乱していると思いますが、
歯科医療の業界も例外ではありません。
外来診療につきましては、
これまで行ってきた
院内感染予防対策を
徹底的に見直し、
患者さんにとっても、
働くスタッフにとっても、
安全に安心して
通えるように努めながら
継続している状況です。
このような状況になると、
当たり前の日常が
いかに幸せなことであったかを
思いしらされます。
手袋やマスク、
アルコール消毒薬など、
これまで当たり前にあると
思っていたものも、
用意が難しくなって
しまうのですから。
そのような状況の中、
訪問診療については、
訪問先のご事情もありますので、
訪問先の方々とご相談し、
緊急事態宣言が出ている
この1か月間について、
よほど急を要する治療以外は、
お伺いしないようにする
ことになりました。
この1か月で、
何とか感染拡大防止の効果が
見えてくることを祈るばかりです。
ただこの1か月間、
通院できない患者さんに対して、
直接私たちがお伺いして、
専門的口腔ケアをすることが
できなくなります。
今は、新型コロナウイルスに
意識がいってしまいますが、
基本的に口の中の環境が悪くなると、
新型コロナウイルスに限らず
感染症にかかりやすくなることが
分かっています。
※新型コロナウイルスに関するデータはありませんが、肺炎やインフルエンザウイルス感染との関係は報告があります。
だから直接私たちがお伺いして、
専門的口腔ケアをできないとしても
この1か月間、
患者さんの口腔環境を悪化させないために
できることをしなければなりません。
そこでやはり考えられるのは、
日常的な口腔ケアを強化すること。
ただそれには、介護している
ご家族や介護スタッフの負担が
増えてしまいます。
そこで極力負担の少ない
効率的な口腔ケアを
お伝えしています。
そしてその間使用する
口腔ケア用品は提供し、
この1か月間を何とか凌いで
頂きたいとお願いしています。
それと、お困りのことや
ご不明な点については、
できるだけお伺いしなくても
ご相談頂きやすいようにしたいと思います。
通院の難しい患者さんに対して、
私たち歯科医療者は、
お伺いせずに何ができるのか。
それをこの機会に良く
考えてみたいと思います。
またもう一つこの機会に
やりたいこと。
それは、これまでの自分たちの
訪問歯科診療を振り返り、
これからの自分たちの役割を
再度明確化したいと思います。
訪問歯科診療に出てみると、
外来診療だけでは見えなかったことを
見ることができました。
そしてそこには、貴重な出会いや
経験もありました。
その中で、自分たちが
役に立てることも少しずつ
わかってきたように思います。
私たちは訪問歯科診療を
何のためにやるのか。
そして何ができるのか。
自分たちのこれまでを
振り返りながら
ちゃんと考えてみようと思います。
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