話せるブログ 第52回 感性&思考「丸投げも自分勝手なこともしない」

この連載について
一人ひとりの答えが違う歯科医療。そんな中、話せる歯科医は、患者さんの言いなりでもなく、自分勝手でもない。科学的な根拠も大事だけど、ときに感覚やあいまいさを優先する。ではいったいどんな歯科医が話せる歯科医なのか? 私、内藤の経験や物語をとおして、話せる歯科医をひも解いていきます。ここには、これからの歯科医療における答えの決め方のヒントがあるはずです。

歯科医療の治療方針に
一つの正しい答えはない。
患者さんそれぞれ違う。

私はそう思っています。
ただそうだとしても、
患者さんとその時々で、
答えを決めていかなければなりません。
そして答えをきめていくとき、
その決め方がとても重要です。

中心は患者さんですが、
患者さんに丸投げしても、
歯科医が自分勝手に決めても
良くないと思っています。

たとえば、
患者さんに丸投げというと、
次のような感じ。

「こういう方法もあれば、
こういう方法もあるし、
これ選んだら
満足するかもしれないし、
満足しないかもしれない。
色んな方法があるけど、
どれ選んでも良いですよ。
どれにしますか?」

どうでしょうか。
これだと少し無責任さを
感じてしまいます。
専門的な知識の少ない
患者さんからしたら
どれが良いか決めるのは
とても大変なことだと思います。

それに言葉には
出していなくても、
この言葉の背景には、
「あなたが選んだことに
私は責任取りませんよ。
あなたが選んだんですから。」
という思いがあるような
気がしてしまいますよね。

では逆に、
歯科医が自分勝手に
決める場合はどうでしょうか?

「はい口あけて。
ではやりますね。
はい、終わりましたよ。
良いつめもの入れといたから。
あ、あと隣の歯にも
虫歯があったから
一緒にやっといたよ。
だから2本で20万円ね。」

患者さんからしたら、
選択肢がないから
迷うことはありませんが、
専門的にみて、
もし本当に良い治療だとしても
困ることはありますよね。

なかには、
先生の良いと思うように
やってよっていう患者さんも
いますから、
患者さんとなじみで、
強い信頼関係があれば、
ありえるのかもしれませんが。
ただそれでも
事前説明は必要ですよね。

それにもし、
結果が悪かったとき、
丸投げされて自分で決めたり、
自分勝手に決められたりすると、
患者さんの後悔が強くなると
言われています。

だからわたしは、
何かを決めるとき、
治療内容や人によって、
その比重は変わるときは
ありますが、できるだけ
一緒に決めていくように
心がけています。

でもこれもそんな
きれいにはいきません。
時折、なかなか決まらないことがあります。

特に、治療が複雑な場合や、
結果の事前予測が
わかりにくい不確実性の
高い治療の場合。

たとえば、
首筋の痛みや肩こりなど、
身体の不快症状まで出ている
ような咬み合わせ関連症状に
対する治療や、

入れ歯の形や咬み合わせを
大きく変える場合などが
それにあたります。

事前に患者さんと
色々とお話し合いしても、
患者さんはあまり
イメージできませんし、
こちらもやってみないと
わからない部分もあります。

これには悩みました。
話し合いばっかり何回も
行うことになって、
全然治療が前に
進まないことがあるからです。

そんなとき、前に進めるために
重要なことは何でしょうか。
次回はそのことについて
書きたいと思います。

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