話せるブログ 第20回 物語「入れ歯満足度を高める歯科医院の総合力 (第3話)」

この連載について
一人ひとりの答えが違う歯科医療。そんな中、話せる歯科医は、患者さんの言いなりでもなく、自分勝手でもない。科学的な根拠も大事だけど、ときに感覚やあいまいさを優先する。ではいったいどんな歯科医が話せる歯科医なのか? 私、内藤の経験や物語をとおして、話せる歯科医をひも解いていきます。ここには、これからの歯科医療における答えの決め方のヒントがあるはずです。

前回のおさらい(→第19回へ)

タクシーを使い、
1人で何とか通院してくる松川さん。
外来に来院された当初、
松川さんの表情はとても硬かった。
発する言葉もどこか感情があまり入っておらず
機械的な感じがした。

医院の外来という
慣れない環境で、緊張しているのだろうか?
それとも、
歯科医院に抱く負のイメージから警戒しているのだろうか?

いずれにしても、
入れ歯治療で満足して頂くためには、
患者さんの緊張や警戒を解く必要がある。

なぜか?
理由はふたつある。

ひとつは、
歯科医と患者さんの
認識のギャップを埋める

良好なコミュニケーションを取るため。

歯科医と患者さんとの間には
必ずギャップがある。
というのは私の持論。

その患者さんに可能な入れ歯の設計、
そしてその入れ歯の難しさ、
入れ歯を作製するまでの回数や期間、

どういう経過をたどるのか、
そもそも入れ歯とはこういうものだという認識、などなど。

専門家である歯科医は、自分が思う、
患者さんにとってよりベターな

入れ歯をつくっていく努力をしている。
ただ、歯科医の考えるベターが、
患者さんにとってのベターと異なることがある。

歯科医は、
入れ歯を安定させること、
残っている歯への負担を
少なくすることなどを
重要視する傾向にある。
今という瞬間だけの満足ではなく、
できるだけ長く維持できるようにと考える。

患者さんは、
入れ歯の形や大きさ、
見た目の問題を重要視する傾向にある。
そのとき違和感なくて、
見た目が良いものを好む。

歯科医は、患者さんより、
今後口の中の変化がどうなるかという未来が少し見える。

だからもし、
今しか見えていない患者さんが
あまりに危ない道を選択するとしたら、
場合によっては止めることも必要だと思う。
ただ、歯科医の価値観や都合で、
すべてを決めることにも問題がある。
それに歯科医が、
入れ歯のことばかり考えていると、
患者さんは全然満足していないということもある。

入れ歯を使用するのはあくまで患者さんである。

だから私は、
入れ歯治療を行うときに
どんな価値観をもった患者さんなのかを知っておきたい。

その患者さんが、
どんなことを最も重要視し、何を期待しているのか。
入れ歯のどんなメリットが譲れなくて、
どんなデメリットは受け入れられるのかなど。

患者さんにその価値観を教えてもらわなければならない。
ただ、患者さんはそれをすぐには教えてくれない。

というより、自分で気づいていないことも多い。
入れ歯治療で何を大事にするかなんて
なってみなければそんなに深く考えない。
そもそも入れ歯というものが
どんなものなのかというのも分らないのだから当然だと思う。

だからそのために、
歯科医と患者さんとがギャップを埋めながら、
良好なコミュニケーションを取る必要がある。
緊張や警戒があれば、
患者さんは自分のことをちゃんと話してくれない。
緊張や警戒が解かれ、
素で色んなことをお話しする中で、
その方の価値観や背景など、
入れ歯治療の満足度を上げるための情報を得ることができるのだ。

松川さんの場合も、
緊張や警戒を解いていくことを考えると、
私自身が、結構な時間と回数を
コミュニケーションにあてる必要があると予想していた。
ところが、実際には全然そんな必要はなく、正直私は驚いた。

一体どういうことだろうか。

(次回に続く)

※ここでの物語はすべて実話に基づいていますが、登場する方々の氏名は仮名であり、個人が特定されないように配慮をしている点をご理解ください。

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