この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の常識や日常がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。
内藤先生
話せる歯科医
ゆめは君
辛口な小学校5年生
なんでって。歯磨きしないと虫歯になるって言われて。だから食べたら歯磨きしなさいって。
そうだよね。確かに歯磨きしなかったら虫歯になりやすいよね。
小さいころからテレビとかでも、虫歯になるから、食べたら歯磨きしなきゃってやってたし。
ひとつは、虫歯にならないように歯磨きをするっていう認識がもはや古い。
そうだよね。しかも食べたらすぐに歯を磨きましょうって。
うん。だから僕は食べたらちゃんと歯磨きしているよ。
歯磨きが習慣化しているのはとても良いことだね。歯磨きをする習慣が無くて、虫歯をもつ人達がたくさんいた頃は、とにかく歯磨きを習慣化させることが大事だったんだと思うんだよね。虫歯になったら痛いとか、治療は痛いよって脅しながらね。
うん。だから歯医者さんって嫌なイメージだもんね。それで?
しかも食べたらすぐ磨くっていう歯磨きのタイミングも習慣化させやすかった。それによって多くの人達の歯磨きがだいぶ習慣化された。
歯磨きの目的を考えると、食べたらすぐ磨くっていうタイミングは間違いとも言えないけど微妙にズレている。本当は歯磨きのタイミングも個別的に考えた方が良い。今はそういう情報も出回っているから最近は、食べた後すぐ歯磨きするのは良くないんですかって質問を結構受けるね。
そうなんだ。今は昔と違って情報がすぐに手に入るからね。
うん。今は個別的な情報が色んなところから簡単に手に入る時代だけど、昔はそうじゃなかった。だから全体として効果をあげるためには、多くの人が習慣化しやすい形にして広める方が良かったんだよね。
それともう一つの大きな問題は、歯磨きの目的が歯が痛くならないようにとか、歯を守るためとか、歯に対しての認識ばかりになって広まってしまった。何のためにやっているかっていう認識はとても大きな問題なんだよ。
先生は、歯磨きは何のためにやっているって言いたいの?
そう。たぶん多くの人がピンと来ないんだと思う。体の健康を守るために歯磨きをしているなんて言われてもね。
うん。自分自身が歯科にかかって歯磨きを真剣にすることで、命を救われたって言ってたんだよ。
糖尿病だったらしくって。歯磨きも全然してなかったらしい。それで、歯磨きを真剣にしたら糖尿病も良くなったっていうんだよ。
だからね、その先生いわく、歯科医は歯磨きの目的とか重要性をちゃんと伝えてないって。こんな重要な歯磨きの目的を虫歯予防くらいにしか皆が思っていないのはまずいんじゃないかって。
その先生はね、歯科医じゃないけど、自身の診療でも歯磨き指導は絶対欠かさずやってるって。
え?歯医者じゃないのに?すご。歯磨きをなめてたね。でも歯磨きが何でそんなに体の健康に影響するんだろう?
(次回へ続く)
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