教えて内藤先生 第32回 「体の症状につながりやすい咬み合わせって?」

この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の常識や日常がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。


内藤先生
話せる歯科医

ゆめは君
辛口な小学校5年生

内藤先生
前回、咬み合わせの問題を抱えている患者さんは、色んな症状を訴えることがあるって話したよね?

ゆめは君
うん。ドミノがどんどん倒れているイメージね。

内藤先生
そう。だから最初のドミノを倒さないことが大事ってことを言ったよね。

ゆめは君
うん。それはわかったんだけど、最初のドミノってどんなことがあるの?

内藤先生
たとえば、一か所だけの治療でも、咬み合わせを変化させてしまうことがある。だからその治療が最初に倒れるドミノになってしまう。

ゆめは君
え、一か所だけでも変化することがあるんだ?

内藤先生
うん。特に、前歯と一番後ろの奥歯の治療は要注意。

ゆめは君
前歯と一番後ろの奥歯?どういうこと?

内藤先生
たとえば、上の前歯のかぶせものをする。そのかぶせものの形によっては、下あごが少し後ろに退がることがある。そうなったときの咬み合わせは体の症状が出やすい。

ゆめは君
どんな症状が出るの?

内藤先生
後頭部の痛みや首筋の痛み、肩こりなどがひどいことが多い。

ゆめは君
へえ。なんでなの?

内藤先生
その辺にある筋肉が緊張するからだと言われているよ。だから歯ぎしりや食いしばりをしていることが多い。その状態から、さらにどちらか左右にずズレると、さらに色んな症状につながっていく傾向にあるね。

ゆめは君
ズレる?どんなときにそうなるの?

内藤先生
下アゴが後ろに退がって、筋肉の緊張が強い状態にある患者さんの一番後ろの奥歯を抜いたり、低いかぶせ物を入れたり、削って咬み合わせ調整したりすると、そっちにあごがズレる傾向にある。

ゆめは君
こわ。

内藤先生
そうなんだよ。だからそういう患者さんは本当に慎重にしなければならない。最初のドミノを倒さないように。

ゆめは君
でもなかなか事前にそれを判断するの難しそう。

内藤先生
確かに難しい。それも全員がつらい症状が出るわけじゃないしね。

ゆめは君
どんな人が症状でやすいの?

内藤先生
女性で、骨格筋が少ないような華奢な人は症状が出やすい傾向になるね。

ゆめは君
へえ。

内藤先生
さらに神経質で真面目な性格。

ゆめは君
性格も関係あるの?

内藤先生
関係していると思う。咬み合わせの影響で、体に症状が出ている人って、神経質で細かく色んなことを訴えるから、周りの人からしたら理解しにくい。精神的問題だと片付けられてしまって、理解されない苦しみも合わさって、そのうちに本当に精神的に病んでしまうことがある。

ゆめは君
つらいね。

内藤先生
そうなるとより改善が難しくなる。そこまでドミノが倒れだすとなかなか戻りにくい。だからできるだけ最初のドミノを倒さないようにしたいんだ。

ゆめは君
ん?ところでさっきから言っている最初のドミノって?

内藤先生
なんだと思う?

ゆめは君
もしかして、前歯のかぶせもの?

内藤先生
正解。

ゆめは君
前歯のかぶせものがそんな変化につながっていくとはなかなかわからないよね。

内藤先生
全員がそんな咬み合わせの変化を起こしたり、体の症状までつながるわけではないけどね。でもその可能性を考えているのと考えていないのでは、治療の質は変わってくると思わない?

ゆめは君
そりゃ変わるとおもうけど、今日の話難しすぎない?

(次回へ続く)

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