この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の想いや常識がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。
内藤先生
話せる歯科医
ゆめは君
辛口な小学校5年生
この前ある患者さんにすごく教えられたなってことがあってね。
それはね、患者さんは、治療結果より治療プロセスで歯科医を判断してるってこと。
あ、治療プロセスっていうと、結果にいたるまでに、何をしたかってことだよね。そうだな~、たとえばゆめは君がどこか車で旅行に行きたいとするよね?
そう。旅行でいうと、治療結果っていうのは、どこにいくかっていう目的地みたいなものなんだ。
うん。でもゆめは君は車の運転免許持っていないよね?
じゃあ車を運転してくれる誰かと行かないとだよね。その運転してくれて一緒に目的地まで連れてってくれる役割の人が歯科医だと考えてみて。
はは。で、その運転してくれている人がどんな運転をしてとか、どんな道を通るのかとか、あるいはどんな会話をしてとか、そういうのがプロセスってこと。
あ、そっか、プロセスを分かりやすく説明してくれてたのね。
いや何となくわかるかな。治療結果はどこにいくかで、治療プロセスはどんな人とどんな運転でどんな道を通るのかとか、そういうイメージってことだよね?
そのとおり。で、ここからが本題で、患者さんは治療結果より治療プロセスで歯科医を判断しているって話ね。
そういえばそういう話だったね。でもたしかに、一緒に旅行に行けば、どこに着いたかより、着くまでの間でその人のことが良く分かるね。
おー、さすが!そのとおり!もちろん目的地に着くことは大事なんだけど、その人がどんな運転をしてどんな道を通って、さらにどんな会話をしてっていう目的に着くまでのプロセスは大事だよね。
たしかにね。着いたときに車酔いでうげーってなってたりしたら最悪だしね。
そういうこと。どんな人が運転するかで、目的地に着いたときの気分も違ってくるからね。で、その運転してくれた人が良かったかを判断するときに、ちゃんと目的地に着いたかで判断する?どんな運転をしていたかで判断しない?
まさにそれで、目的地に着いたかより、車の運転とか会話とか、そういうところに性格が出るじゃない?
あ、だからそれで歯医者さんの性格もプロセスで判断できるよって話ね。
そそ。車の運転みたいに人間性とか、さらには技術もそこに関わってて、それを患者さんは感じてますよって話。
どこに行くかも大事だけど誰といくかってすごい大事だよね?
そうなんだよね。ちょっとそこまで乗せてってよくらい、目的地がすぐそこで決まってるんだったらまだ良いけど、目的地が遠かったり、複雑な道のりになればなるほど、誰と行くかってすごく大事になってくるよね。
歯科治療の場合は、そもそも目的地が決まってない場合もあるし、途中で目的地の変更を余儀なくされる場合もあるし、色んな不確実なことが起こってくると考えると、どんな歯科医と一緒に行くかってとても大事だし、患者さんはそれを判断してるみたい。
その患者さんも言ってたけど治療結果で判断するって難しいからね。歯科医でも治療後の結果だけをみて判断するのは難しい。
見た目で分かりやすいものもあるけど、時間が経たないとわからないものもあったりしてね。ある程度は結果を見てそのプロセスがどうだったか読めるけど、プロセスを実際にみることが出来たら確実だよね。
へえ~。じゃあ歯医者さんは治療プロセスに気をつけないとだね。
(次回へ続く)
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