この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の常識や日常がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。
内藤先生
話せる歯科医
ゆめは君
辛口な小学校5年生
前回は、歯科医もタイミングによって答えが違うって話だったね。
うん。歯科医療の進歩とか、歯科医自身の知識やスキルも変化するとか。
そう。その時々で変わっていくんだよね。でも変わらないものもあるよ。
うん。それをやる目的とかは変わらないね。その人を健康にするためにっていうような。
目的は変わらないけど、その手段は変わるってことね。
そうだね。手段としては、どんどん新しく良いものを取りいれたり、良くないものは改善したり。
一つの価値観や考え方に固執してたら大変かもね。柔軟でないと。
柔軟性かあ。ところで、内藤先生に会うタイミングは、42歳が良いって話だったけど、何でなの?
1つめは、色々と準備が整ってくるから。知識やスキルもそうだし、医院全体の仕組みや、このサイトとかもそうだね。
そうだね。その辺が一番、気力、体力、経験のバランスが整ってくるんじゃないかと。
2つめの理由は、41歳で親を亡くしているから。自分の中で、41歳を越えるって1つのハードルなんだよね。
まあね。気力、体力、経験のバランスが整い、まだ生きれるぞって自信が持てる年。だからこそ患者さんに責任がちゃんともてるぞって思える年。それが42歳。
先生ね、治療をするときには大体、その歯をカメラで写真を撮って、こういう状態ですよって見せながら説明するんだけど。
それがね、この前カメラの調子が悪かったから、写真を撮らずに、治療を行ったんだ。
次にその患者さんが来院したときに言われたのが、「先生に前回やってもらったところ、なんだかとてもブサイクな詰め物になってるんだけど」って。
いやいや、そこは先生が治療した歯じゃなかったんだよ。
あ、その患者さんは先生が実際に治療した歯とは別な歯を治療されたって思ってたわけだ?
そう。先生が治療したのは、その歯より2つ奥の歯だったんだけどね。
じゃあ、患者さんがブサイクな詰め物になってるってのは、もともとそうだったの?
そそ。確かに、段差があったり色が変わってきたりはしてた。治療を受けたことをきっかけに患者さんもそのことに気づいたのかもしれない。
確かに、どの歯を治療されているかって患者さんはあんまりわかっていないのかもしれないね。歯をしっかり見ること自体もあまりしないかも。
歯科医はそう思って患者さんに接しておく必要があるね。それに写真での記録ってやっぱりわかりやすいし良いなって思うね。
(次回へ続く)
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