この連載について
一人ひとりの答えが違う歯科医療。そんな中、話せる歯科医は、患者さんの言いなりでもなく、自分勝手でもない。科学的な根拠も大事だけど、ときに感覚やあいまいさを優先する。ではいったいどんな歯科医が話せる歯科医なのか? 私、内藤の経験や物語をとおして、話せる歯科医をひも解いていきます。ここには、これからの歯科医療における答えの決め方のヒントがあるはずです。
最近とても気になる言葉があります。
それは「情(じょう)」という言葉。
みなさんは「情」という言葉から
どのようなことを連想するでしょうか?
「情」が使われている言葉って
いろいろありますよね?
感情とか、愛情とか。
他にも、
事情、表情とかもですし、
情報や情熱などもあります。
なかなかなじみのある
深い言葉ばかりです。
今回はこれらの「情」が
使われている言葉を
できるだけ使ってみたいと思います。
歯科医療において、
治療方針を決めるときには、
3つの「情」について
考えなくてはなりません。
それは、
「情報」、「事情」、「感情」です。
情報とは、一般的なエビデンスや
その歯科医の経験などによる
医学的なデータペースのことです。
歯科医としてこれを
ちゃんと蓄積していることはとても重要です。
これがあるからこそ医学的な正しさを
判断できますし、専門家であると言えます。
ただこの情報だけで治療方針を決めると
患者さんにとって納得できないものに
なってしまうことがあります。
なぜなら一般論や他の人の経験を
そのまま別の患者さんに
当てはめようとしても
その患者さんの文脈には
合っていない場合があるからです。
いくら医学的に正しくても、
あるいは別な患者さんでは
うまくいったことだとしても、
今目の前にいる患者さんの文脈に
合っていなければその患者さんは
治療方針に心から納得できないものです。
そこで大事になるのが、
患者さんの事情や感情によりそうこと。
実はこのことは、
短い時間で効率的に
答えを出すことを求められる
歯科医療の現場では
置き去りになりやすいことなのです。
現在の日本の歯科医療の実情は、
短時間で多くの患者さんを
診なければならない環境です。
だから効率化というのは、
ちゃんと治療する作業時間を
確保するためにも必要なことになります。
でもこの効率化によって、
患者さんの事情や感情によりそう
プロセスを疎かにしてしまうと、
いくら歯科医が正しいことだと
信じていても、患者さんからしたら
迷惑な押しつけに感じてしまいます。
それでは、お互い不幸になってしまいます。
だから歯科医は、3つの「情」である、
情報、事情、感情の要因を考慮して
治療方針をつくっていかなければ
ならないと思っています。
このことは話せる歯科医として、
とても重要なことです。
そして患者さんの表情を
明るく良いものに変えていく。
そんな情熱や愛情を
持ち続ける歯科医が行う歯科医療。
それが『情』を大切にする歯科医療。
最後は無理やり感もありましたが、
今回は「情」という言葉について
考えながらたくさん使ってみました。
奥の深い言葉ですね。
話せる歯科医は、
『情』を大切にする歯科医療を
実践しようとしているんですよね〜。
だんだんと話せる歯科医が行うべき
歯科医療の形が見えてきました。
(次回へ続く)
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