話せるブログ 第67回 感性&思考「物語を書くこと」

この連載について
一人ひとりの答えが違う歯科医療。そんな中、話せる歯科医は、患者さんの言いなりでもなく、自分勝手でもない。科学的な根拠も大事だけど、ときに感覚やあいまいさを優先する。ではいったいどんな歯科医が話せる歯科医なのか? 私、内藤の経験や物語をとおして、話せる歯科医をひも解いていきます。ここには、これからの歯科医療における答えの決め方のヒントがあるはずです。

文章を書く人の中でも、
小説家ってすごいなと思います。
自分が経験したことももちろん

含まれているのでしょうけど、
自分の経験したことのないことまで
想像してそれを具体的に書くのですから。
それを生業にしている人は、
本当にすごい才能だと思います。

小説家のようにはいきませんが、
私も時々自分の経験を物語で
書くようにしています。

物語を書くことで、
そのときの自分の感情や
行動を振り返ることになり、
自分の診療を省察する

良い作業になるためです。

想像する訓練にはなりますが、
小説家ではありませんので、

想像した面白いものを
なかなか書けませんし、
豊かな文章表現もできません。

でも自分が歯科医療を
実際に行ってきた中で、
悩んだり、葛藤したり、
そしてどう決断し、
その決断によりどうなったのかなど、
実際に経験したことならば、
それは物語として書くことができます。
だって実際の話なのですから。

私たち歯科医療者は、
自分たちが診た患者さんを
症例として振り返り、
医学的な考察を行います。

どんな患者さんに
どんな診断をして、
どんな治療方針を立てて、
どんな治療を実際に行って、
どんな結果になり、
どんな経過をたどったのか。

そのとき医学的な目線で、
症例を見ていきます。

でもそのプロセスにおいて、
歯科医や患者さん、
関わる人達の様々な思いや
葛藤が必ずあります。
もちろん個人的には

感じていることだと思いますが、
通常の症例報告や
公開されている情報の中に

その部分に焦点を当てて、
具体的に書かれていることは
あまりありません。

私たちは、
患者さんの身体の健康や

生活の質を上げるために
歯科医療を行っています。

その場合、
病気や病態だけを見ていません。
患者さんという一人の人間に
向き合っています。
だからそこには対話があり、
対話している人に焦点をあててみると、
色んな物語が見えてきます。

私はそれを振り返り、
どんな人とどのように対話し、
お互いがどんなことに悩み、
どう決断して、
どんな結果になっていったのか。

そしてその患者さんは
どんな顔になっていったのか。

私はそうしたことを
物語として書くことで
省察しています。

恐らく自分たちが
そこで悩んだことは
他の誰かも同じように
悩むことがあるはずです。
だからその物語を発信することで、
もし同じような思いや
葛藤のある方のヒントになれば
良いなと考えています。

そんな思いで、
つたない文章ですが
これからも時々、
歯科医療における
物語を書いていこうと思います。

(次回へ続く)

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