この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の常識や日常がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。

内藤先生
話せる歯科医

ゆめは君
辛口な小学校5年生
歯科医と患者はお互いを知ることが必要という内藤先生。(→第3回へ)
そのために欠かせないコミュニケーション。
内藤先生が大事にしているコミュニケーションとは?
内藤先生
前回は、歯科医と患者さんがギャップを埋める努力を積み重ねることが信頼関係を構築することにつながるって話をしたよね?
ゆめは君
うん。そのために歯科医と患者さんがお互いのことを知る必要があるって聞いたよ。
内藤先生
そうなんだよ。患者さんは、歯科医のことを良く知らなければ信用できないだろうし、歯科医も患者さんのことを良く知らなければ、その患者さんの健康や生活によりそった治療はできないんだよね。
ゆめは君
お互いを良く知るためにはどうしたら良いの?
内藤先生
歯科医と患者さんのコミュニケーションがとても大事になってくるよね。
ゆめは君
コミュニケーション?
内藤先生
そう、コミュニケーション。ただコミュニケーションっていっても、話をたくさんすることではないんだよ。
ゆめは君
コミュニケーションって話をすることじゃないの?
内藤先生
確かに、話もするし、話を聞くこともするよね。だけど、たくさん話してたら良いってわけじゃないんだよね。
ゆめは君
あ、言葉だけじゃなく、身振り手振りってことね?
内藤先生
う~ん、それもコミュニケーションの1つだね。ただ先生が言いたいのは、普段の態度とか姿勢みたいなものかな?それによってその人の言っていることとか、やっていることが信用できると感じられるような。
ゆめは君
たとえばどんなこと?
内藤先生
たとえばね、うそをつかないとか、手を抜かないとか、聞いたことにちゃんと真面目に答えてくれるとか。その人の普段の言動から徐々に感じ取られるもの。
ゆめは君
普段の言動から徐々に感じ取られるものか。なかなかわかりにくいね。
内藤先生
そうだね。じゃあたとえば、優しい人ってどんな人?
ゆめは君
優しい人?えー、勉強しなくても怒らない人とかかな?
内藤先生
それは優しいのかな?勉強しろっていう人が、ゆめは君が勉強することで幸せになると信じていたら、それは優しさから言っていると思うけどね。
ゆめは君
そうなのかな?優しさって難しいね。
内藤先生
こないだね、先生はのどが痛くて耳鼻科の先生にお世話になったんだけどね。
ゆめは君
ん?内藤先生が?
内藤先生
うん、すごい痛くて腫れてきてて。結局扁桃炎だったんだけどね。その耳鼻科の先生はすごくてね。当日電話で連絡さえしてたら何時までもみてくれるっていうんだよ。
ゆめは君
夜遅くても?
内藤先生
うん、夜遅くても。その日に処置してもらって、結局終わったのは夜10時過ぎてたからね。毎日そんな感じだっていうんだよ。
ゆめは君
それは助かるね。
内藤先生
うん、本当に助かったよ。しかもその先生、たぶん80歳くらいなんじゃないかな?
ゆめは君
え?それはすごいね!
内藤先生
そう。しかもその先生ね、次の日は休診日だったんだけど、処置した後が心配だからって次の日の休診日に時間をつくってまたみてくれたんだよ。
ゆめは君
すごい優しい先生なんだね?
内藤先生
それ!そういうこと!優しさって、話をするとか、優しい言葉をかけるとかだけじゃないんだよね。その耳鼻科の先生は、そんなにたくさん話さないし、痛いことも容赦なくしてくるけど、やっぱり優しい先生だと感じるんだよね。
ゆめは君
なるほど~。それもコミュニケーションだってことなんだね。
内藤先生
そうなんだよ。話すことだけがコミュニケーションじゃなくって、普段の言動や態度、姿勢で徐々に伝わるものっていうのがあるんだよね。それが先生が今最も大事にしているコミュニケーションなんだよ。
ゆめは君
話せる歯科医とか言っちゃってるのにね。
内藤先生
・・・。
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