話せる歯科医って?

「先生はどんな歯科医なの?」

ある患者さんから言われたこの質問に、私はすぐに答えることができませんでした。そのときの私は、何か他人とは違う特別な専門性や肩書きなどがなければ、患者さんにどんな歯科医かをアピールできないと思っていました。だから、わかりやすい特別な専門性や肩書きをもたない私は、すぐに答えることができなかったのです。

このときから私は、「自分はどんな歯科医なのか?」「どんなことで、人や社会の役に立てるのか?」など、自分の歯科医人生を一旦立ち止まって考えることになりました。

歯科医は、自分の得意とする専門性や肩書きを打ち出すことで、ひとつの信用を得ています。歯科医にとって周りから信用を得ることは、最も大事なことの一つだと思います。ただ考えてみると、不思議なことに気が付きました。

信用を得るために、歯科医は専門性や肩書きをアピールすることになりますが、私の身近には、専門性や肩書きをアピールしなくても信用してくれる人がたくさんいたのです。それにそんな身近な人たちは、専門性や肩書きを全く気にしていませんでした。

では何を重要視していたのでしょうか? それは、人間性です。その人が実際にどんな人なのか。正直なのか、ずるくないのか、何ができるのか。そして自分のことを真剣に考えてくれる人なのかなど。

ある方に教えてもらいました。身近な人たちほど、肩書などよりも、関わりの中からその人間性を感じ取り、信用できるかどうかを判断している」と。

私はそのことを実感した時、関わりの中から信用される歯科医を極めていこうと決めました。歯科医として、このことに特化したような既存の専門性や肩書きなどはありませんし、何かひとつの明確な方法がそこにあるわけでもありません。自分が関わる人、その一人ひとりに、等身大で丁寧なコミュニケーションを行っていくしかありません。

だから私は、そのような歯科医になるために、一つの個人コンセプトを打ち出したのです。

それが話せる歯科医です。

振り返ってみると、私は今まで、家族や親戚だけでなく、身近に関わった人達に、本当に支えられてきました。特に、高校生の時に、母親を亡くしてからそのことを強く感じてきましたし、最近自分自身が体調を崩し入院してしまったときにも改めてそれを実感しました。だから私は、これから自分ができることで関わる人達の役に立ちたいと強く思っています。自分ができることを掘り下げて考えた結果として生まれたものが、話せる歯科医です。

私は今、「あなたはどんな歯科医ですか?」と尋ねられたら、「わたしは話せる歯科医です」と答えたいと思います。話せる歯科医がどんな歯科医なのかは、このサイトを読んでいただけると見えてくると思います。これからも、自分が話せる歯科医だと自信をもって答えられるように努力していきたいと思います。

最近の記事 おすすめ記事

最近の記事

PAGE TOP