この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学５年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした２人の気さくな会話から、歯科医の想いや常識がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。

内藤先生
話せる歯科医

ゆめは君
辛口な小学校５年生

内藤先生

歯科医院がコンビニの数より多いって知っている？

ゆめは君

え？そうなの？

内藤先生

歯科医院が多いってことで、良く比較されるんだけどね。だいたい歯科医院が7万軒くらいで、コンビニが5万5千軒くらいだって。

ゆめは君

へえ。じゃあ歯医者さんが多すぎるってこと？

内藤先生

いやそれがそうでもないんだよね。結構多くの歯科医院が、勤務してくれる歯科医が足りなくて探している状態なんだよね。

ゆめは君

歯科医院は多いけど、歯医者さんは足りてないってこと？

内藤先生

勤務して働く歯科医は今足りていないみたいだね。なかなか来ない。でも10年後には歯科医全体で歯科医が足りなくなるって言われているよ。

ゆめは君

そもそも今歯医者さんて全部で何人いるの？

内藤先生

10万人くらい。

ゆめは君

その数が多いかどうかも分からないけど。

内藤先生

医師が30万人くらいだから、歯科医だけでその3分の1いるっていうのは多い気がするけどね。

ゆめは君

へえ。

内藤先生

ただ歯科医が10万人で歯科医院が7万軒てことは、働いていない歯科医もいることを考えたらほとんどが開業している歯科医ってことになる。

ゆめは君

あ、だから勤務してくれる歯科医が足りないわけね？

内藤先生

そうだね。ただ10年後にはかなりの数の歯科医が高齢になってきて歯科医をやめると言われているから歯科医全体が足りなくなるんじゃないかって言われているよ。

ゆめは君

じゃあ歯医者さんになろうかな？

内藤先生

お、それは良いと思うけど、ただ足りなくはなるかもしれないけど、給料はどんどん下がるかもしれないよ？

ゆめは君

え？そうなの？

内藤先生

忙しくて大変なのに、給料は安いってことになりかねない。歯科医療の業界全体の収入が落ちていけばそうなるよね？

ゆめは君

歯科医療の業界全体？

内藤先生

うん。国もこれからの医療に、歯科医療の効果を期待してはいるみたいなんだけど、国も大変だからね。今回のコロナの問題もあるし、これから人口も減るし。歯科医療業界にお金をかける余裕が国にないかもしれない。

ゆめは君

歯科医療業界全体が貧乏になっちゃう？

内藤先生

そうなる可能性もある。ただそこは頑張り次第だよね？歯科医院のあり方や歯科医個人のスキルや能力によってはすごく良い未来が待っているような気もするし。

ゆめは君

大変そうだね？

内藤先生

大変さはあるけど、先生は今の仕事をやりたくて選んできたからね。

ゆめは君

そういえば別な仕事辞めて歯医者さんになったって言ってたね？

内藤先生

うん。だからゆめは君も大変そうでも歯科医になってやりたいことがあるっていうんだったらぜひ歯科医になってほしいね。どう？

ゆめは君

ちょっと考えさせてください。

内藤先生

あらま。

（次回へ続く）