教えて内藤先生 第54回 「親知らずって抜かなければならないの?」

この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の想いや常識がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。


内藤先生
話せる歯科医

ゆめは君
辛口な小学校5年生

内藤先生
先日、奥の歯肉からのどが痛いって来た患者さんがいてね。少し扁桃の腫れもあったんだけど、どうも親知らずが原因で痛みが出ているようだった。

ゆめは君
親知らず?

内藤先生
うん、親知らずって、一番奥の大人の歯。10代後半から20代前半くらいに、親が知らない間に生えてくるからそう言われているんだよ。今の若い人たちは、だいたいしっかり生えずに埋まってたりするんだけどね。

ゆめは君
へえ。親が知らない間に生えてくるから親知らずっていうんだ。

内藤先生
そう。でも今の若い人たちは、ちゃんと生えてこないことが多い。

ゆめは君
ちゃんと生えないの?

内藤先生
うん。生える場所がたりなくて生えてこれない。だから埋まってたり、横になってたりする。

ゆめは君
なんで生える場所がたりなくなっちゃったの?

内藤先生
食べ物がやわらかくなって、咬むことが少なくなったからアゴが小さくなったっていう説と栄養摂取状況が良くなったから、歯が大きくなったっていう説が良く言われているね。だぶんどちらもあるんだろうけど。

ゆめは君
アゴが小さくなって歯が大きくなった?

内藤先生
うん。だから親知らずまで全部の歯が生えきらない。

ゆめは君
その親知らずが原因で痛くなるの?

内藤先生
そう。ちゃんと生えていない親知らずって細菌がたまりやすくなっているんだよね。だから親知らずの周りに細菌が増えて歯肉が化膿する。そうなると歯肉が腫れて痛いとか、口も開きにくくなるときもある。

ゆめは君
そうなったらどうするの?

内藤先生
痛みとか腫れなどの症状が強ければ、まずは薬で何とかおさえる。少しおさまったら根本的な解決はその親知らずを抜くこと。

ゆめは君
絶対抜かないといけないの?

内藤先生
絶対とは言わないけど、また悪くなる可能性があるからね。

ゆめは君
親知らずを抜いたって話を良く聞くけど、じゃあ必ずしも抜かなくて良い?

内藤先生
親知らずがあることで、悪影響があるとしたら抜くことをおすすめはしてるけどね。

ゆめは君
どんな悪影響があるの?

内藤先生
一つは、さっきから言っている、細菌がたまりやすくて歯肉が化膿してしまう可能性ね。

ゆめは君
まだあるんだね?

内藤先生
うん、他にもあるよ。手前の歯を悪くしたり、親知らずがあることで歯並びや咬み合わせが変わってきたりすることもある。そうなるとなかなかやっかい。

ゆめは君
けっこう悪影響があるんだね。

内藤先生
もちろん、ちゃんと生えている親知らずで悪影響が少なければ抜く必要はないよ。だから絶対抜かないといけないものではない。

ゆめは君
抜くことで良くないこともあるの?

内藤先生
埋まっている親知らずは、抜くことが大変なときもあるので、傷が大きくなって患者さんもしんどいのと、親知らずの近くを太い血管や神経が通っていることがあるので、それを傷つけたらしびれなどの後遺症が残ることがある。

ゆめは君
え?それは恐いね。

内藤先生
可能性としてはかなり低いけどゼロではないからね。だから抜くメリットとデメリットを考えて決めないとね。

ゆめは君
先生は親知らずあるの?

内藤先生
大学時代にすべて抜かれました。すごい大変だった。腫れたし痛みも結構長く続いたし。それに片方の親知らず抜いたときは、なかなか血が止まらなくて。だから患者さんにも簡単に抜けとは言えないけど、メリットが勝つ場合にはおすすめしているよ。

(次回へ続く)

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