教えて内藤先生 第49回 「セカンドオピニオンで患者さんに気を付けてほしいことは?」

この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の想いや常識がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。


内藤先生
話せる歯科医

ゆめは君
辛口な小学校5年生

内藤先生
前回、歯科医療でもセカンドオピニオンを求める患者さんが増えているって話をしたよね?

ゆめは君
うん。ネットやSNSで色んな情報が手に入るから、患者さんが迷い出したって話だったよね?

内藤先生
そうなんだよ。選択肢が増えたからね。ただセカンドオピニオンを求めるときに、患者さんには気を付けてほしいことがあるんだよ。

ゆめは君
気を付けてほしいこと?

内藤先生
そう。まず診断と治療方針を区別すること。

ゆめは君
しんだんとちりょうほうしん?

内藤先生
ちょっとむずかしい話だけどごめんね。診断(しんだん)は、その患者さんの今の状態について判断すること。そして診断能力の高い歯科医は、なぜそうなっているのか、このままだとどうなるのか、今だけでなく、過去や未来までみている。

ゆめは君
過去や未来までみてるってすごいね。治療方針(ちりょうほうしん)は?

内藤先生
治療方針は、その診断をふまえて、これからどうするかについて。そして治療能力の高い歯科医は、治療をした場合にどうなるかという未来までみえている。

ゆめは君
へえ。でもなんで診断と治療方針の区別が必要なの?

内藤先生
診断、特に今の状態がどうなのかについては、一つの正解がある。

ゆめは君
一つの正解がある?

内藤先生
うん。だから正しいとか間違いってのがある。たとえば、この歯の虫歯はこれくらい進行していますとか、この歯はわれていますとか、明らかで簡単な問題に対しては、大体歯科医は同じことを言うはず。もし違うことを言っていたらどちらかが間違えていることになる。それは一つの正解があるから。

ゆめは君
歯医者さんは、間違えることもある?

内藤先生
その時点で間違えることも、正解がわからないこともあるよ。ただここで重要なのは、その時点でってことね。時間が経つほど、わかりやすくなってくるから。

ゆめは君
時間が経つほどわかってくる?

内藤先生
そう。だから、セカンドオピニオンで話を聞いた歯科医の方が、より正解にたどりつきやすい。後出しじゃんけんみたいなもの。

ゆめは君
後出しじゃんけんか。後から出すほど勝ちやすいってことね。

内藤先生
そう。だから後医ほど名医って言われる。後からかかる医者ほど、名医に思えるってことね。

ゆめは君
なるほど。後医ほど名医か。

内藤先生
つまり診断は一つの正解があって、もし前の歯科医がその正解にたどり着かないようならセカンドオピニオンを求める意義は大きいけど、後になるほどその正解にだどりつきやすいもだから後にかかった歯科医が名医とは限らないってこと。

ゆめは君
患者さんにはそれを知っておいてほしい?

内藤先生
うん。そうじゃないと最初にかかった歯科医との信頼関係が壊れてしまうこともあるから。それともうひとつ。治療方針には、そもそも一つの正解はない。これは前にも話したことがあるよね?(→教えて内藤先生 第2回)だから治療方針については正しいとか間違っているとかの判断はなかなか難しい。

ゆめは君
じゃあどうしたら良いの?

内藤先生
確かに診断がどのレベルまでたどり着いているかで、その歯科医が勧める選択肢は変わってはくる。そのことを理解した上で、目指すべきは正しい選択ではなくて、後悔の少ない納得できる選択になる。それを支援してくれるようなセカンドオピニオンを貰えると良いと思う。そうじゃないと、選択肢がただ増えるだけで、より迷うことになってしまうから。

(次回へ続く)

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