教えて内藤先生 第46回 「なんで歯科医は不機嫌な顔するの?」

この連載について
歯科医と患者さんとの間にはギャップがある。それが不満や後悔につながることも多い。歯科医の内藤は、そのギャップを埋めるため週に一度、落ち着いて患者さんと話せる時間をつくることにした。するとそこに毎週訪れるようになった小学5年生のゆめは君。内藤とゆめは君。患者さんからのご質問やご意見をもとにした2人の気さくな会話から、歯科医の想いや常識がみえてくる。歯科医と患者さんのギャップを埋め、お互いに後悔のない歯科医療を選択するための情報が満載。


内藤先生
話せる歯科医

ゆめは君
辛口な小学校5年生

内藤先生
先日相談に来た患者さんがね、今まで通っていた歯科医院で、何かわからないことを聞いたり、要望を伝えたりすると、歯科医の先生が不機嫌になるからなかなか自分の言いたいことが言えないって。

ゆめは君
患者さんが話すと歯科医が不機嫌になる?

内藤先生
うん。そういうことを話す患者さんて結構いる。

ゆめは君
その歯医者さんが短気なの?

内藤先生
まあ短気っていうその歯科医の性格も関係はするよね。でもそれだけじゃないと思う。

ゆめは君
患者さんに問題があるってこと?

内藤先生
その人がすごく相手を不快にさせるようなことを言ったりしていたら、それは歯科医かどうか関係なく、言われたら不機嫌になっちゃうかもだけどね。でもそういう場合じゃないことも多い。

ゆめは君
相談にきた患者さんはどうだったの?

内藤先生
わからないことはちゃんと知りたいっていう気持ちがあるから、歯科医に細かいなって感じさせる可能性はある。でもすごく気づかいをしてくれるタイプの人だったよ。

ゆめは君
気づかい?

内藤先生
うん。その歯科医の先生が不機嫌な顔するから、何か私がわからずその先生に迷惑をかけていることがあるんでしょうか?って気にしていた。歯科医の先生の事情がわからないから教えてほしいって。

ゆめは君
事情がわからないから知らないうちに迷惑をかけているってこと?そういうこともあるの?

内藤先生
迷惑というか、困ることはあると思う。歯科医は、患者さんの期待や要望にできるだけ応えたいって思ってはいても、やっぱり色んなことに制限のある中で行っていることも多いから。

ゆめは君
せいげん?

内藤先生
うん。使えるお金や時間、モノやヒトが限られてたり。保険診療のようにあらかじめ決められたルールの中でやる場合はとくにね。

ゆめは君
じゃあ、その患者さんにもそういうことを伝えたの?

内藤先生
実際にその場にいたり、その歯科医院の環境を正確には分からないから、自分が言えることは、一応、歯科医院の一般的実情についての話だけどね。なんで歯科医が不機嫌な顔になってしまうのかについて。

ゆめは君
へえ。なんでなの?

内藤先生
まず、これは最初の方にも言ってたけど、歯科医の性格的な問題はベースにあるよね。温厚な人も入れば怒りっぽい人もいる。それは歯科医に限らないけど。

ゆめは君
歯医者さんの性格ね。でもそれだけじゃないんでしょ?

内藤先生
そう。その歯科医のおかれている立場に対しての環境要因が関係する。

ゆめは君
環境要因?

内藤先生
温厚な人だって、怒るまでの閾値が高い、つまり怒りにくいだけで、何があっても怒らないってわけじゃないよね?

ゆめは君
そりゃそうだよ。

内藤先生
そういう怒りとかイライラにつながる要因が、積み重なりやすい環境で、しかもすでにその歯科医にかなり積み重なっていたら、ちょっとのことであふれ出ちゃう。

ゆめは君
積み重なっているとちょっとのことでも怒っちゃう?

内藤先生
そのとき怒られたり、不機嫌な顔をされたりしたら、なんでこんなちょっとのことでそんな不機嫌になるの?って感じると思う。

ゆめは君
そうなるよね。でも歯医者さんてそんなに怒りやイライラが積み重なるものなの?

内藤先生
結構積み重なりやすい環境ではあると思う。もちろんそうならないように努力している先生たちもいっぱいいるし、実際に全然イライラしていない先生たちもたくさんいるけど。でも事情を教えてほしいってことだったから、どんなことで怒りやイライラが積み重なってしまうのか、その患者さんには歯科医の事情を正直に伝えたよ。

ゆめは君
そうなんだ。で、その事情は僕にも教えてくれるの?

内藤先生
長くなるけど良い?

ゆめは君
じゃ、今度聞きます。

(次回へ続く)

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